True love stories 9. ページ47
.
『ナナさん！』
「わぁ、びっくりした！｣
突然の呼び掛けに、思わず体がビクッとなり、
慌てて背後に顔を向ければ
見慣れた後輩の姿がそこにはあって…
「ねぇ、驚かせないでよ…！｣
『今、そんな事言ってる場合ですか！？』
『ほら、早く…！』
「ええ、ちょっと待って…！｣
溜め息をつく暇すら与えずに
後輩は私の手を取りぐいぐいと引っ張って
彼のいる方向に向かって突き進んでいく。
有無を言わさない行動に戸惑いながらも
引きずられるようにして後に続く。
後輩『はいはい、すいませ〜ん！』
後輩『ちょっと通してくださいね〜！』
ファン『ちょっと押さないでよ！』
「あ、ごめんなさい…｣
(ねぇ、やっぱり無謀だってば！)
ファンが囲む輪の中心をずんずんと
割って入りこむ後輩に続くと
途中、ファンの子達にぶつかったりして
私は一人ずつに頭を下げる羽目になった。
｢…………。｣
(何だかすごく申し訳ない気分)
とは言え、少しずつだけど
彼に近付いているのは確かで
胸がドキドキと鼓動を早くする。
そして、あっという間に
警備員のいる一番前まで到着すると、
『壱馬、お届けものです！』
「…え、｣
『ほら、ナナさん！』
「わっ、ちょっ…！｣
後輩が一際強く私の手を引き、
前に押し出すようにすれば
その反動でグラついた体が前のめりになった。
正面には警備員がいるし、
ぶつかるってば…！
そう、思い目を閉じた瞬間…
『ナナ！』
「あ、えっ、あの…｣
『良いから、早よ来いって…！』
警備員にぶつかる寸前、
まるでバトンタッチとでも言わんばかりに
後輩から彼の手が私の腕をしっかりと掴んでいて
早く来い、と急かすように
ぐいっ、と強く腕を引かれた。
辺りは勿論、騒然としていて
私はよく状況を把握出来ないままに
スピードを上げて走り出す彼に続いて走った。
「ねぇ、私入っても大丈夫なの！？｣
警備員が止めに入る隙もなく
バタンと勢いよく閉じられたドア越しに響く
ファンの子達の狂乱した叫び声。
その悲鳴のような声を背中に感じながら、
彼の横顔を見つめ問いかけてみる。
『俺が入れたんやから、別に良いやろ』
「ああ、そう…｣
(そりゃそうだけどさ…)
会場内に入ったからか、
少しずつスピードを落として歩く
そんな彼に歩幅を合わせて並ぶ。
しっかりと握られた腕に、
熱が集中する。
.
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やよい(プロフ) - 愛さん» 遅くなってごめんなさい！最後まで読んで下さって嬉しいです。本当にありがとうございます！北ちゃんのお話もマイペースに更新しますので良かったら、お付き合いください。 (2020年4月3日 21時) (
レス) id: 0adcf1b39f (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 無事くっついてくれてよかったー！後輩ちゃんがいい子でほっとしました（ ; ; ）ほくちゃんとまこのお話も楽しみにしてます(^^) (2020年4月1日 5時) (レス) id: 0498cf0682 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 壱馬の息子さん» こんばんは、お返事遅くなってごめんなさい！続編、ありがたいお言葉です(^^)今持ってる連載片付いたら一度チャレンジさせて頂きますので上手く書けたらまた更新させて頂きますね☆ (2020年3月29日 20時) (レス) id: 0adcf1b39f (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - あんさんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！続編待ってくださる方がいらしたら是非ともチャレンジさせて頂きます！笑 上手く書けたらまた更新したいと思いますので少しお待ちくださいね(^^) (2020年3月29日 20時) (レス) id: 0adcf1b39f (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - まりさん» 最後までお付き合いありがとうございました！続編、少し考えてみたいと思います！とりあえず今持ってる連載片付いたら一度チャレンジしてみますね。笑 (2020年3月29日 19時) (レス) id: 0adcf1b39f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やよい
| 作成日時：2020年3月23日 19時
