One another's feelings 2. ページ12
.
｢……………。｣
(落ち着け、私)
また何を言われるんだろう、と
不安になる自分自身に
そう言い聞かせて呼吸を整えた。
玄関に脱ぎ捨てられた隼人の靴を揃えて
リビングに向かえば
隼人は物珍しそうな表情を浮かべながら
私の部屋をぐるりと一望して、
｢お前にしちゃ、随分片付いてんじゃん｣
ふっ、と息を吐いて笑うと
私に振り返ってそう言ってみせた。
どうやら地元に住んでいた時より
シンプルな室内への率直な感想だったらしい。
確かに地方の地元に居た頃と比べてみれば
家具も必要最低限しか置いていない。
それは、簡単な理由だった。
｢すぐ、また向こうに帰るつもりだったから｣
｢余計な荷物は邪魔になると思って｣
｢買わなかっただけ…｣
自分が不意に口にした台詞に
どこか違和感を覚えるなんて
何とも不思議な感覚だった。
以前の私は、確かにずっとそう考えていた。
なのに、何故か言ってて腑に落ちないのは
きっと彼と出会ってしまったからだ。
｢……………。｣
(ああ、そうか、私まだ帰りたくないんだ)
隼人から視線を外して、
リビングの入り口で立ち尽くした私は
自分の腕を手で掴み握る力を強くした。
ぎゅっ、と唇を噛み締めながら俯いた私に、
隼人は全て悟ったように言った。
『そんな辛そうな顔すんなって、馬鹿』
「……え？｣
『本気なんだろ？』
離れた場所にいた隼人は距離を詰めると
私の頭に手を伸ばして髪を掻き乱すと、
そう問いかけながら
そっと私の顔を覗き込んだ。
｢…どうせ、また馬鹿にするんでしょ？｣
｢芸能人に恋なんて、｣
｢夢みたいな事言うな、って…｣
隼人が私にそう言ってきた張本人だ。
今更、何を言われたって
傷付いたりはしないつもりだった。
だけど、いざ本当に
自分で口にしてみれば
やっぱりずきん、と痛む胸に
私は表情を曇らせた。
｢あの時は、俺も余裕が無かったから｣
｢つい、イライラして…｣
｢言い過ぎたよ、悪かった｣
そう言って、
本当に申し訳なさそうにした隼人は
私の頭を何度も優しく撫でて謝ると、
じっと目を凝らして続けた。
『そんなに泣くほど惚れてんだな、お前…』
「……っ、｣
(そういえば)
今まで隼人の前で泣いた事なんて
ほとんど無かった気がする。
別れる時ですら、
私は悲しい気持ちを隠して
こっそり一人でアパートに戻って泣いた。
隼人の言葉にハッとして、
振り返った過去に思わず眉を寄せた。
すると、
.
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やよい(プロフ) - 愛さん» 遅くなってごめんなさい！最後まで読んで下さって嬉しいです。本当にありがとうございます！北ちゃんのお話もマイペースに更新しますので良かったら、お付き合いください。 (2020年4月3日 21時) (
レス) id: 0adcf1b39f (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 無事くっついてくれてよかったー！後輩ちゃんがいい子でほっとしました（ ; ; ）ほくちゃんとまこのお話も楽しみにしてます(^^) (2020年4月1日 5時) (レス) id: 0498cf0682 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 壱馬の息子さん» こんばんは、お返事遅くなってごめんなさい！続編、ありがたいお言葉です(^^)今持ってる連載片付いたら一度チャレンジさせて頂きますので上手く書けたらまた更新させて頂きますね☆ (2020年3月29日 20時) (レス) id: 0adcf1b39f (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - あんさんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！続編待ってくださる方がいらしたら是非ともチャレンジさせて頂きます！笑 上手く書けたらまた更新したいと思いますので少しお待ちくださいね(^^) (2020年3月29日 20時) (レス) id: 0adcf1b39f (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - まりさん» 最後までお付き合いありがとうございました！続編、少し考えてみたいと思います！とりあえず今持ってる連載片付いたら一度チャレンジしてみますね。笑 (2020年3月29日 19時) (レス) id: 0adcf1b39f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やよい
| 作成日時：2020年3月23日 19時
