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両親だったものをお祖母ちゃんと
持って車に乗る。人間とは最後は
こんなにコンパクトになるものな
のか。と心の隅で思いながら窓の
外を眺めた。少しすると赤い屋根
の家の大きなお家で車が止まり、
お婆ちゃんがせっせと荷物を手に
持ち始める。え、ここ?!
シル●ニア...??
すごい。私のお家シルバ●アじゃん。
わあ感動した。実在してたなんて..!
(...んん??)
私の家の前でひっそり丸まるふわふ
わ。なんだあれ??
膝を抱えて顔を埋めるふわふわの癖
毛にふと安心してしまうのは、きっ
とこの靄がかった記憶の中に彼がい
るからなんだろう。
「あら…あの子、Aちゃんが
よく言ってたいっくんだねぇ。」
「…いっくん。」
濃い霧がかかって思い出せない。で
もお婆ちゃんが知っているぐらいだ
し…きっと仲が良い友達なのだろう。
「…お父さん、私が連れて行くよ。」
「え、でも。」
「いいよいいよ。行っておいで。」
…いや、でも本当に今は分かんないん
だって。いっくん。いっくんね。はい。
お父さんをお爺ちゃんに託して、車を
降りる。私の足音で気が付いたのか、
動き出したふわふわ。
「…Aちゃん…っ」
大きな目にこぼれそうな程涙を溜め
て体当たりの如く抱き着いて来た少
年。もちろん抱き留める事なんか出
来ずに地面とお尻が勢いよくこんに
ちわ。
というか、みんな私を締め付けて
泣くなぁ…まぁ、当たり前か。
みんな両親を亡くした私に対
しての慰めなのだろう。
「…ッ(ぐへぇ)」
「ごめ…っ辛いの僕じゃ、ないの、
にっAちゃ…っうう」
泣きじゃくりながら力強く抱きしめて
くれる彼の背中をさすれば冷たくなっ
ていた背中に、ずっと待ってくれたん
だなと気づく。そっと温める様に抱き
しめれば、腕の中で泣きじゃくる彼は
勢いよく顔を上げた。
間近で見た瞳に私が映りゆらゆら揺れ
る。空まで移す瞳に思うのだ。
綺麗だと。
「ッ…ぼ、僕が!!…僕が、Aちゃん
をっ、守るから…絶対っ、守るから!!」
そうぐちゃぐちゃの顔で笑うのだ。
安心させるかのように、不器用に。
『いつか、僕もカッコイイヒーロー
になってみんなを…守るんだ!!』
ああ、この瞳に見覚えがある。
チラリチラリ見え隠れする大きな
影とそれに焦がれる…3つの小さ
な影。
誰だっけな…誰だっけなぁ…?
「…うん。」
あーあー…もったいない。
こんなに素敵な人達が居ながら
なんで私は…
「…お願い。」
忘れてしまったのだろう。
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作者名：キティさん | 作成日時：2020年1月19日 20時
