ヒーローはまだこない【ヒロアカ】 (ページ6)

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あの後あのヤンキーは盛大に舌打ち
をして帰って行った。まあ、普通に
彼の母親であろう女性に教育的指導
をされていたが…

え??私、いやいや。ざまあみろとか、
そんなこと思ってないさ。ははっ。

男の子の親は大変そうだとぼんやり
思っていたら「Aちゃん!なんかあ
ったらかっちゃんママに言うんだよ
ーっ」と手を振った彼の母親改め、か
っちゃんママ。「かっちゃんゆーなや
!!!!」と沈められた彼が怒鳴るあたり
彼がかっちゃんなのかと理解した。

ヤンキーでかっちゃん…なんか可愛い
な。かっちゃんか。あの顔で。

嵐の様な親子に手を振って今度こそ
見送った後葬儀の片づけを手伝う。
声を掛けてくれたかわいいお婆ちゃん
と葬儀の片づけをしながら話をす中で
いろんな事が分かった。残念ながら、
記憶は戻らなかったけど私の現場は
最初に立てた仮説で合っていたようだ。

今日の葬儀はお婆ちゃんとこれまた可
愛いお爺ちゃんの娘である母と親がい
ない父を天国へ送るためのものだった。

死因は、ヴィランとの交戦中市民を守
って死亡。ヒーローとして立派な最後
だった、と。お婆ちゃんとお爺ちゃん
は涙ぐんでいた。

(…ヒーロー、か。)

その言葉の意味がおとぎ話ではなく
この世界の職業だということは分か
る。なのに、その立派だった両親の
ことが思い出せない。

立派だった、両親の顔も市民を守っ
たという背中も…思い出せない。
親不孝者だなぁ。私。

…でも…でもさ…

自分の親を泣かせることがヒーロー
の仕事なのかな。それが立派な最後
なのかな。なんで…

ヒーローは、私の両親を助けて
くれなかったのかな…?

そんな疑問がぐるぐるぐるぐる
頭の中を回った。