ヒーローはまだこない【ヒロアカ】 (ページ5)

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「…テメェ…グハッ」

口を開いた瞬間身を固めたが、
いきなりヤンキー...ｹﾞﾌﾝｹﾞﾌﾝ...
少年が視界から消えて驚きから
体が跳ねる。「ふぉあ!?」と
情けない声が出たが、だ、大丈夫
だ。(何がだ)

「っ…コラ!!!勝己!!ごめんね。
Aちゃん。こいつまた、何か
やらかしてない?!」

少年を地に沈めたのは、彼女らしい。

あんなヤバイ奴を沈めるなんて、
相当ヤバイ奴(語彙力)だと思って
震えるが、眉を下げのぞきこむ
彼女の目は優しくて思わず首を
かしげた。

え、見方なの?助けてくれたの??
...うわぁあん!怖かったよぉお!!

なんて頭の中では大暴れだが、
そこは我慢だ。

「いで!!おいこのクソババァ!!!
人の頭ボカスカ叩くんじゃねぇ!!
ぶっ殺す!!!」

「ハン。やれるもんならやってみ
なさい!返り討ちにしてやるわっ
この馬鹿息子。」

ぎゃあぎゃあと喧嘩する光景が
頭の中の記憶とリンクする。

ぼんやり、ぼんやり…
ううん。誰だっけ?分かんない。

ヤンキーに知り合いなんている
人生。波乱万丈すぎて思い出せ
ないのかもしれない。うん。

反応がない私の顔を心配そうに
見つめる女性に、とりあえず笑
ってみるが泣かれた。えぇ?

「っ…もうもう!!!優子…なんで
この子を置いてっちゃうかなぁ…」

そう泣きながら抱きしめる女性の
腕の中で私はただただ固まるしか
なかった。

…ゆうこ、って、だーれ?

違和感しか感じない腕の中、硬直
する私を訝し気に見つめる鋭い目
に…

私も、彼女も、

気づかなかった。