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品川に着いた時、既に23時半を過ぎていた。
披露宴とパーティで既にアルコールが入ってたところに更にロング缶を一本開けて、
それでもいつもやったらそこまで酔っ払うほどやないんやけど今日は特別でアルコールの回りも早くて気分が高揚してた。
駅でタクシーを拾うと俺の口は勝手に自宅ではない場所を言って、手もまた勝手に携帯を取り出す。
酔ってはいたけど、意識はちゃんとあったし理性もまだあった。
一度電話して出なかったら、今度にしようとも思った。
もし会えるなら、顔を少し見るだけでいい。
時間が少しあるんやったら――
『…もしもし？』
彼女はわりとすぐに電話に出たから、ふわふわと気分の良いまま彼女の声を聞けたことに嬉しい気持ちにすらなる。
「山田さん？大倉やけど。」
『うん。知ってる。こんな時間にどうしたの？』
彼女の声はいつもと同じ、冷静で淡白や。
だけど今日の俺は多少歯止めが効かへん。
「会いたい。」
どこまでも潔く素直に思ったままを口にした。
『…え？』
「…山田さんに、会いたい。今どこおるん？」
窓の外には静かな夜の東京の景色が流れる。
規則的に並ぶ街灯を目で追うときりがなかった。
『どこって家だけど…大倉くん、酔っ払ってる？』
「今から家、行ってもええ？」
酔ってはいたけど、彼女の声がどこか動揺していて注意深いことは聞いて取れる。
それでももう、踏みとどまろうとは少しも思われへんかった。
『…いいも何もこんな時間だし、もうパジャマ着てるし、すっぴんだし。』
「それでもええから。会いたい。…あかん？」
間をおいて電話の向こうから聞こえてきた小さなため息。
『…分かったから。大倉くん今どこ？』
その口調はまるで我儘を言う小さな子どもをなだめる母親のようで。
「品川からタクシー拾ってそっち方面向かっとるとこ。」
『勝手だなぁ、もう…。』
「…ごめん。」
『そこで謝っちゃうのが大倉くんらしいけど。』
小さな笑い声が聞こえて俺は少しほっとする。
『着いたら下行くから教えて。残念だけど家の中はちょっと散らかってるから入ってもらえないや。』
「うん。分かった。」
『じゃあ、後で。』
電話が切れてゆっくり携帯を持った手を膝に降ろす。
心臓の音が身体を強く打っていた。
嬉しくなって運転手にバレないように窓の外を見ながら小さくわらった。
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蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、初めまして。有難いお言葉に胸が熱くなりました…後先考えずにがむしゃらに書いてしまった荒すぎる出来の中でふたりの互いに想い合う気持ちは一番慎重に書いたのでそう言っていただけてとても嬉しいです！こちらこそ読んでくださりありがとうございました^^ (2018年11月10日 23時) (
レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - はじめまして。あまりにも続きが気になって一気に読ませて頂きました。描写はもちろん、ヒロインと大倉くんのお互いを想う切実さが綺麗で、思わず息が詰まりました。とっても素敵なお話をありがとうございました。 (2018年11月9日 15時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2018年8月7日 18時
