「暴れだす」 ページ19
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また喋れたらいい、なんて思ったところでその『また』が簡単に来るわけじゃない。
社内で会っても立ち話をする程俺にコミュニケーション力があるわけでもないし、
彼女もあれから特に何が変わるわけでもなく俺を見ても『お疲れ様』と会釈するだけやし、
特にその後山田さんと話すこともなく盆休みがやってきた。
ヤスのプロポーズはもちろん成功し、彼女は泣いて喜んだらしくて、
今度結婚祝いに飯を奢る約束もした。
店主のおばあちゃんが死んでからもう長いことそのまんまやった家の近くのたばこ屋兼駄菓子屋が取り壊されて、更地になったことくらいで、
正月ぶりに帰る地元に特に変わりはない。
お母ちゃん曰く、更地には新しくコンビニができるらしい。
俺の家は家族同士年がら年中連絡を取り合うわけでもないから、両親もまだ実家住まいの弟二人も元気そうで安心した。
「忠義ぃ、あんた今日何時に帰るん？」
東京に帰る日の昼過ぎ、冷房をきかせた部屋でベッドにごろんと横たわって高校生の俺が貼った天井のアイドルのポスターなんかぼーっと眺めてたら、
部屋のドアがノックされてお母ちゃんが顔をのぞかせた。
「んー、夕方の新幹線乗ろう思うてるけど。」
「夕飯は食べていかれへんのね。」
「明日朝早くから仕事やからなあ。またすぐ9月に帰ってくるて。」
俺はよいしょ、と起き上がり、ベッドに腰掛けると部屋の入り口に立つお母ちゃんを見上げた。
「あ、そやった。早苗ちゃんの結婚式やったわぁ。」
そうやったそうやった、と頷くお母ちゃんは、俺を見ると、
「あんたもあんたらしく、頑張りなさいよ。」
柔らかく微笑み部屋を出て行った。
結婚式までは一ヶ月を切っていて、少しだけ、そわそわする。
そわそわはするけど、俺は前よりずっと前向きになれているような気がした。
折角やから来週のどこかで半休でも取って、結婚式に着ていく服、新調しに行こかな…。
そんなことを考えられるくらいには。
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蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、初めまして。有難いお言葉に胸が熱くなりました…後先考えずにがむしゃらに書いてしまった荒すぎる出来の中でふたりの互いに想い合う気持ちは一番慎重に書いたのでそう言っていただけてとても嬉しいです！こちらこそ読んでくださりありがとうございました^^ (2018年11月10日 23時) (
レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - はじめまして。あまりにも続きが気になって一気に読ませて頂きました。描写はもちろん、ヒロインと大倉くんのお互いを想う切実さが綺麗で、思わず息が詰まりました。とっても素敵なお話をありがとうございました。 (2018年11月9日 15時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2018年8月7日 18時
