灰色パーカー。【速水凛香】 (ページ8)

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目に映った空色。ページ8

―Rinka side―

………Aが日本から発って、約二年が過ぎた。

私は、Aの居ない日常に慣れてきていた。

…………何て、嘘。Aが居なくなった日常には、色が無かった。

淡々とした毎日、面白みのない世界。

何事にも興味を示す事が出来なくて、勉強も怠った。

…………そのせいで、エンドのE組に落ちてしまったけれど。

(……………どうでもいい)

私は、貴方が居なかったら―――………

『……………あら、帽子、が……………』

「…………え…………」

……………A…………？

木の枝に引っかかった帽子を必死に取ろうとしているこの人は、紛れもなくAで。

前まで長かった髪を肩まで切り、目が悪くなったのか眼鏡を掛けていること以外はあの頃と変わっていない。

「………っ、A……！」

元気にしてた？

留学から帰ってきたんだね、髪…似合ってる。

……………ねぇ、A――――――………………

“貴方の事、嫌いなの”

「…………ｯ……………！」

二年前の、貴方の言葉が頭を駆け巡る。

………そうだ、貴方は…………私の事…………

『……………久しぶり、――――……………速水凛香』

「……………え――――――――――――」

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