【白猫プロジェクト】髪、目、身体、そして心

十八話 ページ22

A「はぁはぁはぁ…」


私の荒い息だけが辺りに響いてる。


あたり一面は、クモだらけ。


ひっくり返って死んでる。


ちょっと危なかった、かも…。


左肩を見たら、そのあたりの服が真っ赤だった。


クモに噛み付かれた。


ああ、もう。


すごく痛い。


さすがに、数十匹いるクモ全員を、相手しきれなかった。


一応全部倒したつもりだ。


けどまた、クモの大群や違う魔物が来てしまうかもしれない。


早く……家に戻ろう。


左肩からあふれでる血を抑えながら走る。


空を見れば、まん丸い形をした月は私の真上にあった。


ということは…もう真夜中ぐらいか。


あの人たちが行ってから、どれぐらいぼーっとしてて、どれぐらい戦っていたんだろう。


体感的には、多分…ぼーっとしてた方が長い気がする。


そんなに長い時間、戦ってないし。


ゴンッ！


A「…あたっ！」


……木の枝に頭をぶつけた。


さっきからずっと、木の根っことか石に引っかかったりしてて…。


疲れてるんだ。


今日はいろんなことがありすぎたから。


体力的にも、精神的にも、もう限界。


今すぐ、ここで寝てしまいたいけど、それじゃ死ぬようなものだ。


重い足にむちを打ちながら走る。


A「はぁ…はぁ……うわ！」


根っこに引っかかって、思いっき前にコケる。


A「…いった〜」


足を思いっきり擦りむいた。


起き上がろうとするが、手に力が入らない。


A「うぅ…」


足も痛いし、肩も痛いし、そして最悪なことにあの殴られた傷も痛み出した。


それに、


A「…眠い…。寝ちゃおうかな…」


立てないとわかったとき、一気に眠気が出てきた。


静かに目を閉じようとした、その時。


？「……！」

？1「……いま……！……」


遠くで話し声が聞こえた。


それと大勢の気配。


A「！」


一瞬だけ目が覚めた。


瞬時に起き上がる。


肩が猛烈に痛かったけど、そんなの気にしない。


さっきの声、海岸の方から聞こえた。


それに大勢って…。


耳をすます。


？「早く…ろ！」

？1「気づか……前に！」

？2「あいつ…探し出せ！」


ちょっと遠すぎて、何言ってるかわからないところもあるけど…


何か、急いでるみたい。


しかも……あの村の方へ向かってる気がする。


A「……早く行こう」


村に向かって走った。

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