【白猫プロジェクト】髪、目、身体、そして心

十三話 ページ16

キャトラ「さて、帰ろうかー」


アイリス「そうね。もう、暗くなってきたし」


太陽はもう、遠くに見える山へ隠れようとしている。


二人と一匹の顔は、逆光ではっきりと見えない。


A「早く帰った方がいいよ。夜になると魔物が、もっと凶暴化するから」


本当の事だけど、これはただの理由付けに過ぎない。


この人たちには、この島を早く出て行ってもらわないとダメなんだ。


このまま居座られると、あの村の存在もばれてしまうかもしれない。


…そんなのダメだ。


キャトラ「そうだったわね。出会っちゃうとめんどくさいから、早く帰ろー」


A「じゃあ海岸まで案内するよ」


そう言って私は歩き出す。


それからは行きと同じように、黙々と歩き続けた。


魔物にもあったけど、赤髪の男の子が倒してくれた。


戦いなれているようで、強かった。


それで海岸まであと少しというところで、こんな言葉を言われた。


キャトラ「ねぇ、Aってこのこの島から出たことないの？」


A「…ぇ」


体が何かに反応する。


振り返る。


A「…うん。出たことは、ないよ」


キャトラ「この島でずっと一人なのよね？」


A「…うん」


足が、震える。


なんで、震えるの？


キャトラ「そうだよね？だったらさー…」


胸が苦しい。


なぜだかわからないけど、


次の言葉を言って欲しくない。


なんで？


なんでこんなに震えてるの…！？





キャトラ「私たちと一緒に旅に出ない？」


A「っ！」


息が詰まる。


こんな言葉、生まれて初めて言われた。


わからない。


旅に出る？


アイリス「ここの島以外にも、いろんな島がありますよ」


キャトラ「そーそー！いろんなおいしい食べ物もあるし、楽しいわよー！」


主人公「 ♪ 」


A「……」


わからない。


こんな私がこの島を出たら、どんな目で見られるか分かんないよ？


………いや、わかる。


あの村の人みたいに、蔑んだ目で見られる。


当たり前でしょ？


なのに、なんでこんな私を誘うの？


おかしいんだよ？〈化物〉なんだよ？


なんでよ。


でも……この人たちは？


この人たちは、私と同じ？


私から見たら、髪の色もおかしいし、目の色もおかしい。


だったら……でも……！


いろんな感情が入り混じって、もう自分でもよくわからない。


ただ一つ分かること、やらなければいけないこと。


それは……


A「………出て行って」

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