声を聞かせて【HQ】 (ページ4)

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「瀬見さん、どうですか！」

「うまいうまい」

瀬見さん、五色が調子乗りますよ。

今は3対3の練習試合中。

俺は一試合目に勝って休憩中。

「あれ、若狭どこいった？川西知らないか」

コーチが探しているのは若狭A。

この前入った1年のマネージャーだ。

「いや、見てないです」

天童さんがAを連れてきたときは

牛島さん以外は全員がびっくりしていた。

うちはマネージャーは取ってない。

だけど、天童さんが監督に許可をもらい

あいつはうちのマネージャーになった。

一番驚いたのは、声が出ないということ。

生まれつきの病気で声を出すことが出来ないらしい。

それでもマネージャーとしての仕事も、

俺達との意思疎通を図ろうとするのも、

一生懸命にやる姿があってか

今ではみんなに好かれるマネージャーだ。

すると体育館倉庫の方から

ドンガラガッシャーンと何かが倒れる音がした。

試合中にも関わらず、全員が音の方に反応する。

すると瀬見さんが、ハッとした様子で

A、と呟いて体育館倉庫に走った。

Aに何かがあったのか？

俺も急いで瀬見さんの後を追った。