声を聞かせて【HQ】 (ページ3)

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体育館倉庫には瀬見先輩の姿があった。

何かを探してるみたいだけど…

先輩の肩をとんとんとする。

「お、Aか」

『何かお探しですか？』

私は手話で瀬見先輩に伝える。

他の部員には伝わらないんだけど、

瀬見先輩は私がマネージャーになると知り

独学で手話を学んでくれていたらしい。

「倉庫の中にボール飛ばしちゃってさ。

ビブスと得点板、俺が出しとくから

ボール探してもらっても良いか？」

そう言い申し訳なさそうに手を合わせる先輩。

手で丸を作ると、ふわっと笑い

私の頭をぽんぽんとする瀬見先輩。

頼むな、と言ってビブスと得点板を持って

体育館の方に向かって行った。

よし、探すぞー。

自分でいうのもなんだけど、

白鳥沢学園は中高一貫の進学校で

割とお金もある方だと思う。

だからか知らないけど、体育館倉庫には

色々な道具で溢れかえっている。

跳び箱の横にバレーボールが見えた。

あった！…けども、これ邪魔だな。

私の行く手を阻むのは重ねられた平均台。

どけるスペースもないし、上から行こう。

私が平均台を越えようとした時、

足元がぐらついて

私は平均台と一緒に床に倒れてしまった。