氷姫 弍【冨岡義勇】

伍拾肆話 ページ6

A＿＿大丈夫だろうか。


…Aをしのぶさんの元に連れていった後、俺はAが心配だった。


「…Aちゃん大丈夫かなぁ……」


「……ゴメンネ……」


と善逸も伊之助も心配している。
…あれは絶対痛い。結構深く切っていたから。
しかもそれを分かりつつ、伊之助の身代りになったと思うと＿＿＿




「…Aはやっぱ優しいんだなぁ。」


思ったことが口に出ていた。…俺は慌てて口を手でおさえる。


「炭治郎？急にどうしたんだよ、Aちゃんの事優しいんだなぁとか言って」



耳が良い善逸には聞こえていたらしくて、善逸には不思議そうな顔で聞かれた。



「あ、いや、何でも無い！」


「…ふーん」



＿＿＿鍛練は終わった為、善逸と伊之助は部屋へ戻っていった。…俺は早く、常中の技を会得したいから、まだ鍛練をする。



＿＿いつもはAが見てくれるが、今日は仕方ない。



「(……何だろう。この気持ち……)」



いつもは考えないが、今日はAの事を頭の中に沢山、思い浮かべている気がする。


…最初会った時の、冷たい表情。

…何回か会って段々、仲良くなっていった。

…全集中・常中の技を教えてくれている。

…伊之助の身代りになり足を少し怪我した。


その時のAの表情や匂いが思い浮かぶんだ。…表情は確かにずっと無だけど、最近は……
少しだけど表情が緩んできた気がする



＿＿Aが笑った所を見てみたいな…
とか最近は思っている。






＿＿あ、そういえば今日は俺Aの事横抱きにしたよな…？


あれ、Aは不快だっただろうか？
…いやでも匂いからしてそんな匂いはしなかった
『恥ずかしい』っていう匂いがした。



………勿論、俺もその…近距離だったから緊張していた。



今、思い出しただけで心臓が大きく鳴る。


「何なんだ…これ」




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