ご み ば こ.

(yt×in) ページ30

side:K.I


あーあ、怒ってる。
怒ってるなぁやだなぁとか収録中に思いながらごしごし、何回も唇を拭った。

他の人としたくないし、出川さんだからってわけじゃなく他の人とのキスは気持ち悪いし、上書きしてほしくてたまらないし。


でも、でもなぁ。


ゆーとだってさ、膝、座らせてたじゃん。
テレビでもそれはやだな。ゆーとの膝の上は、知念にだって譲らないのに。




もんもんとした気持ちを抱えたまま収録を終えて、もう一度衣装で口を拭う。
楽屋戻って、メイク落として、洗顔して……やっぱりゆーとに、キスしてもらいたいな。

と、楽屋への道を歩いていると。


「いのちゃん、待って。」

「ふぇ？っんわ、」


腕を掴まれて振り返ると、頬に手を添えられて。
リップをおとすみたいに唇を親指の腹で撫でられた。

何をしているのかって疑問と、今まで共演があっても話しかけてきたりとかはあんまりしなかったからって驚きで動けないでいると、端正な顔が近づいてきて。


「…………キス消し、ね。」


くっついた唇が離れていって、そう微笑まれればノックアウト。


「……おれも、やだったよ。
女の人、膝の上に乗せるの。」

「テレビだから仕方ないでしょ。」

「じゃあおれのキスもだもん。」


言葉の少ないゆーとだから、こうして嫉妬丸出しにしてもらえるのは単純に嬉しい。
だからこそここは譲れない。


「……ここ触っていいの、俺だけだと思ってたのに。」


さっきのイケメンとはまた打って変わって、今度はおれの唇をふにふにしながら、捨てられた子犬みたいな顔をする。

あーあ、タチが悪い。こんなもん、負け決定だ。


「……おれの楽屋、行こ。」


手を引いて、楽屋に行こうとして、はじめてここが、まだ共演者さんがいっぱいいるスタジオだということに気づく。


「……ゆーと、確信犯でしょ。」

「何が？それよりも、はやく。
俺もっと慧といちゃいちゃしたい。」


にこり、と笑ってみせるゆーとはやっぱり確信犯。でも悪い気もしない。
だって、俺が恋人ってアピールしてるわけでしょ？なら、ゆーとに変な虫がくっつく心配もないもんね。

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