13話 ページ14
side実弥
昔から本音なんか絶対に言わない。
家族が最優先で、
自分の事なんか全部後回しで
少ない飯を弟達に分け与えて
ボロボロの着物を1人で夜なべして
小遣いは弟妹の服とか食費にあてて
実弥「優しくて不器用なのはどっちだよ…クソがァ…」
どっかに嫁いで子を持ちたかった。なんて
実弥「初耳だぞ…」
玄弥は早く鬼殺隊なんか辞めさせる…
普通の生活が1番だ。
嫁もらって、所帯もって…
そういう生活が1番だ。
いつ死ぬかわかんねぇ仕事なんかやってる場合じゃねェよ。
A『兄さん、何してるのですか?』
実弥「黙れ。」
戸を開けて心配そうに俺を見る妹。
抱きしめて毎度思うのは
あぁ、やっぱり現実なんてクソ。
A『何度嗅いだって私は鬼ですよ。』
声も顔も性格も言葉遣いも全部コイツなのに。
弟妹を庇っただけなのに…
実弥「クソがァ……」
A『私が逆の立場なら同じ事をするんでしょうね。兄妹ですから。』
小さく笑って俺の背中を摩る。
いつか俺が此奴の頸を……
A『兄さん、お茶でも要ります?』
座布団を蹴り飛ばし、正座している妹を枕にして横になる。
A『あらあら……』
少し呆れたような声を出しては
A『耳かきですか?』
昔、お袋がそうしていたように俺の耳を掃除し始める。
何も無い。
言葉を交わさない。
こんな事間違ってるが
A(兄さんが穏やかな顔してる……良かった。ずっと眉間にしわ寄って苦しそうだったから……)
実弥「お前、俺の耳かき担当な。」
A『あらあら。』
あと何日、何時間一緒に居れるのか知らねぇが、
「倖せ」ってこういう奴もあるだろうな。
しのぶ(不死川兄弟ってAさんの事になると別人になりますね。弱味握ったかもしれないです。)
A『あぁ!お茶が渋く…!勿体ない……』
そういうとこは本当にそのまんま。
実弥「気にしねぇよォ。」
A『ダメですよ!』
無駄に律儀で義理堅くて優しい奴。
あとは
実弥「てめぇ、不器用なんだからよォ。」
A『な!兄さんよりは器用ですよ。』
実弥「いつからそんなクソ生意気な口になったんだァ?」
A『事実でしょう。』
生意気な口とクソ不器用なとこ。
全部合わせてAだ。
どんなに逃げようとしても現実だ。
腹くくるしかねェか……
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作者名:ペテン師 | 作成日時:2019年11月20日 4時