(3) ページ33
すると足場は大きく揺れた
やはり、この足場、脆い
これではみんなの体力が尽きて、私たちが地上へ落ちることになってしまう……
トワリン……お願い、元に戻って……
いつもの優しいあなたに戻ってよ……!
—————“私に任せて”
!!
ダメ!来ないで!!
ユリスの頭にその言葉が響くと、まるで時が止まったかのように暴風の音や雨の音、トワリンの鳴き声が聞こえなくなった
みんなはトワリンの次の攻撃に備えて構えているが、ユリスはゆっくりとトワリンの方へ歩き出した
パイモン「おい、ユリス!何やってんだよ!?」
パイモンが必死に止めるが、ユリスは聞こえていないかのように前へ進む足を止めない
空「ユリス!!」
ウェンティ「まさか……!」
ウェンティはユリスの異常にハッとする
ウェンティ「セーレ!ダメだよ、今君が出てきたら……!」
ユリスは目を瞑る
そしてゆっくり顔を上げてトワリンを優しい瞳で見つめる
パイモン「ユリス……?」
その目には軽蔑も、憎しみも、憤りもない
ただ、純粋なトワリンへの想いだけ
その瞳は金色の光を放ち、風元素が刻まれている
『トワリン……』
トワリンも驚いたように攻撃をしない
ユリスはゆっくりと宙へ浮遊する
そしてトワリンの方へ近づき口元を優しく抱きしめた
『大丈夫よ、ここには何も怖いものはない……恐るものは何一つないの、
誰も殺そうとなんてしてないわ。ただ……助けたいだけなの』
ユリスはトワリンに言い聞かせるように優しく呟いた
そして続けて、『大丈夫、信じて……』と優しく撫でた
『古の神のご加護があらんことを……』
そうしてユリスが呟くと、ユリスが白く光だした
パイモン「何だ!?」
ジン「何が起こっている?!」
空「!」
その光は眩しく、目を開けていられないほどだった
ウェンティ「セーレ……」
ただ一人を除いて……
ウェンティはただジッとトワリンを浄化しようと抱きしめるユリスを見つめていた
ユリスの光に当たると、トワリンの首の後ろにある凝血がまるで無かったかのようにホロホロと塵になって中に消えていく
するとトワリンは一気に脱力したように、後ろへ倒れ雲の渦の中心へ落ちていった
102人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆっきーぷ | 作成日時:2023年3月11日 19時