永遠の夜 ページ38
「外見しか良いところがない話を聞かない傍若無人自分勝手……」
「え?」
「私が世話を焼かないと生きていけないくらいボンボンだし……」
「ちょっとまってください」
「けどね」
ずらずらと並べられる悪口の数に思わず制止を挟もうとした自分を、一言で引き留めた。
その時の彼は、たいそう愛おしげな目をしていた。
「悪いやつじゃなかった」
ようはすべてその一言に籠められていたのだ。どんなに二人の仲が分け隔てようとも、確かに存在していた友情は万物をもってしても消失しきれないものだ、ということが、易々と理解できた。
彼は優しい目をしていた。
「嫉妬した?」
「は?」
スグルさんは自分の顔を下から覗き込むと、からかうようにフフ、と微笑んだ。目は挑発的に弧を描き、黒曜石を埋めたような瞳の色がこちらを誘っているようだった。
「してないです!絶対、してない……」
「ええ?本当に?」
目をそらしても、何度も視線を変えてこちらを見つめ直してくる。真っ赤な顔で頬を膨らますと、度が過ぎたと反省しつつも、まだからかい足りないといった様子で顔を引っ込めた。
「それで、その親友は何ていう名前なんですか?」
少し思い詰めたような顔をしてから彼は言った。
「秘密」
君にはできるだけ長いこと嫉妬していてほしいからね、とスグルさんは言った。自分にはよく分からなかったが、また自分をからかったのだということだけ理解できたので、軽く彼の手の甲にしっぺをした。彼はあははと笑いながら対して痛くもないのに手を降ってそれを紛らわせていた。
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作者名:地獄職人(匠) | 作成日時:2021年1月27日 23時