一日目(2) ページ2
『あ…！』
マズい、患者の松野さんに関する資料は一通り目を通してあるけど、肝心の部屋の番号は分からない。
どうしたものか…
慌てて追いかけようとしたが既にイヤミ先生の姿はなく、廊下には暗闇が広がっているだけ。
足音すら聞こえない。
『…取り敢えずそんなに広くないだろうし、一つ一つ見て回ってみるか…』
自分のデスクに荷物を置き、資料を持ってスタッフルームから出る。
…早めに見つかるといいけど…まぁこれも部屋の場所を覚える良い機会だと思おう。
コツ…コツ…と静寂の中に足音が響く。
何度見てもこの病棟は薄気味悪い。
ふと昔弟と見たホラー映画を思い出した。
病院もののホラーで、確か主人公は私と同じ医療関係者だったはずだ。
病院内でお決まりのホラー展開が起こるんだけど……果たして主人公は無事に病院から脱出できただろうか？
怖い部分だけは覚えてるものの、肝心のラストは思い出せない。
『……？』
その時、どこからか視線を感じた。
もしかしてイヤミ先生か？と思ったが淡い期待は裏切られ、振り返ってみても人の気配はない。
ホラー映画のことを思い出していたせいだろうか？
窓もないのにどこからか流れてくる風に寒気がする。
『はぁ。ツイてないなぁ…』
怖さを紛らわすためひとり言を言ってみたものの、未だに視線を感じる…ような気がする。
この不気味な閉鎖病棟にもそのうち慣れる日が来るのだろうか？
『………』
それよりも今は早いとこ部屋を見つけなきゃ。
部屋は空室が多いが、患者がいる部屋にはネームプレートがある。
『松野さん…松野さん…』
なかなか見つからないなー
やっぱりあの時、追いかけてでもイヤミ先生に聞いてみるべきだった。
『！？……な、なに…？』
少し反省していると後ろからガタッと何かがぶつかったような音がした。
イヤミ先生？
いや、ここはさっきイヤミ先生が行った方向とは真逆だ。
ネズミ？
…この不気味な病棟ならそれもありうる。
『…ネズミがいるなんて最悪』
本当にツイてない。
わくわくしながら新たな職場にきてみれば職員は一人だけ。しかも明かりが少なく日の光も入らないこの場所で住み込みで働くのだ。
『…あ、見つけた』
やっと"松野様"と書かれたネームプレートを見つけ、思わずガッツポーズをしてしまった。
まぁ、周りには私以外誰もいないから気にしなくてもいいか。
【key1:視線と物音】
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舞香 - ふふっ怖くていいですね…！続き気になります…頑張ってください応援してます…！←生きる気力のないクズからでした… (4月9日 22時) (
レス) @page13 id: 30c4979b7d (このIDを非表示/違反報告)
とろろ(プロフ) - なり金さん» ありがとうございます。割と伏線をしきつめてるので、読みながらぼんやり考えていただけたら幸いです。 (2020年5月23日 22時) (レス) id: f050346503 (このIDを非表示/違反報告)
なり金(プロフ) - 怖いけど楽しいですね！！ (2020年5月23日 17時) (レス) id: c41c7ba354 (このIDを非表示/違反報告)
とろろ(プロフ) - 永夢さん» ありがとうございます。ドキドキハラハラな感じを目指してるのでそう言っていただけて嬉しいです！ (2020年5月14日 14時) (レス) id: f050346503 (このIDを非表示/違反報告)
永夢(プロフ) - ちょっと見るつもりが、続きが気になってきました！ (2020年5月13日 1時) (携帯から) (レス) id: 412e09563c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nori | 作成日時：2020年3月31日 16時
