どうしようもないヌナ・・LT・・

エレベーターで　　　you ページ3

仕事を終えて帰宅途中に、また、朝と同じコンビニによる。

買うものは６本セットの缶ビールと、少々のおつまみ。

これも日課となっている私は、「お疲れ様です。」と朝とは違う従業員に挨拶される。

そんな変わらない毎日をもうずいぶん過ごしている。

だけど、変化なんて求めていない。

寧ろ、今のこの環境があまりにも居心地が良すぎる。

生活にも、心にも、もう波風なんて立てたくない。

それが正直な私の気持ち。

だけど彼が、そんな私の日常に割り込んで来るなんて
この時の私には想像もできなかった。




自宅マンションに着き、エレベーターに乗る。
閉まりかけのドアに一人の男性が飛び込んでくる。

２５階建てのマンション。エレベーターは２つ。
最上階まで上れば１階まで下ってくるのに多少時間がかかってしまうので、
その気持ちも分らなくもないが、
ここは都会のマンションで、他人との関わりを持ちたがる住人は非常に少なく、
他の住人と一緒になるくらいなら、次を待とう。と思う住人が多数だ。

そんな私も多数派で、いまだに隣の住人の顔さえ知らない。

飛び込んできた男性を見て驚く。
朝、私のおサイフを勘違いして奪った人だ。
思わず

「あ！！」

と、声が漏れてしまった。

？と私を見る男性・・・確か、コンビニの従業員がウワサしていた。
SJのイトゥク？？

そうだ、私は彼に、ちょっと悪質なファンか何かに間違われたんだ。
ここに住んでるのかな？
次はストーカーに間違われそうだ。
だとしたら厄介だな。

彼より先に素早く自分の階１５階を押す。

まもなくエレベーターは動き出すのに
ボタンを押さない彼。

え？何故？

まだ、私にはピンと来ていないような彼の表情に、
また難癖つけられたら堪らないし、

「あ、朝はおサイフあって良かったですね？」

と、彼の記憶を呼び戻す。

LT「ああ、今朝の！！
本当に今日は申し訳ありませんでした。
失礼な態度を取ってしまって・・・。」

「とんでもないです。私もあの状況だったら、
同じことしたと思いますし笑。
お気になさらずに。」

再び謝罪を受けたことで、実際はそこまで気に留めていなかったのに、
なんだか催促してしまったようで、早く逃げ出したい衝動に駆られる。

LT「そう言って頂いて、安心しました。」

そういって、彼は１６階のボタンを押した。

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