七つの大罪 (ページ11)

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11話ページ11

3人に店の手伝いを任せ、岩本は外に出た。
改めて町を見渡してみると、城下町のような町並みで、人がちらほらと行き来していた。
その様子を見て、少し違和感を覚えたものの、その違和感が何かハッキリとは分からなかったため、一旦考えるのは止め、町を散策することにした。

黄「すみません。
　この辺りで、20代後半ぐらいの男で、髪の毛が茶色の顔が大きい奴見てませんか？」

男「いや？
　見てないな。」

男「知らねえな。
　他をあたってくれ。」

とりあえず数をあたろうと、道行く人に声をかけ続けるが、30分たったが未だ手がかりは何も掴めず、焦りと不安がこみ上げてきた。

黄「...どこにいるんだよ。
　全然見つかんねえじゃん。」

ため息をつきながらトボトボ歩いていると、広場のような場所に着き、何かもめている集団が目についた。

黄「何だあれ？
　喧嘩か？」

気になった岩本がその集団の近くに行ってみると、どうやら1人の男が叫びながら何かを訴えており、その周りにいた数人の男たちが宥めているようだった。

男1「本当なんだよ、信じてくれ！
　妻が攫われたんだよ！
　あの公爵がやったんだ！
　絶対そうに決まってる！！」

男2「何を言ってるんだ？
　落ち着けよ。
　あの人はそんなことはしないよ。」

男3「それにあの人は、あの館からほとんど出てこないんだぞ。
　どうやって誘拐なんてするんだよ？」

男1「違う！！
　おまえらはダマされてるんだ！
　あの公爵はこの町の女を沢山攫ってる。
　何でおまえらは気づかないんだよ！！」

岩本はハッとして周りを見渡した。
店から出て感じた違和感の正体に気がついた。
この町で、女性の姿をまだ一度も見ていなかったのだ。