story3 ページ4
頭を下げてお辞儀をした女はゆっくりと顔を上げた。
そして、俺の目を真っ直ぐと見た。女と視線が交わるのは二度目。
そんな女を見て俺は不覚にも綺麗だと思ってしまった。
真っ直ぐと俺を見つめる大きな瞳。筋の通った鼻に薄い唇。
女の白い肌に見立てたかのような傷んでいない胸辺りまでの長さのサラサラな黒髪。
この女...。顔が整いすぎてねぇか？
『少し嫌なことがあって取り乱しちゃった。本当にごめんなさい』
俺が女に見惚れてしまっている間に女は更に口を開いた。
クスクスと作り立てた笑顔で笑う女は何処か儚げで。
女の頬には先ほどまで泣いていたという証拠の涙の後がある。
「...嫌なことって？」
俺は思わず女に質問をしていた。何してんだよ、俺。
女の...しかも、見ず知らずの女の相談に乗るなんて柄じゃねぇよ。
チラリと女の様子を見るとキョトンとした表情をして俺を見ていた。
何か言えよ！こっちが恥ずかしいじゃねぇか！
俺は照れを隠すためかアイスオレに付いているストローをグルグルとかき混ぜた。
『フフッ...。相談に乗ってくれるの？』
女は口元に手を当て目を細めて笑った。先ほどの貼り付けた笑顔とは違い、心からの笑顔だと思った。
この女、綺麗に笑うんだな...。
「そっちの方がいいと思うぜ」
『え？』
「アンタさっきまで泣いてたし、笑ったかと思うと作り笑いだったろ？そうやって素直に笑った方がいいんじゃねぇの？...って、初対面の女に俺は何を言ってんだ」
先ほどの発言よりも更に恥ずかしい発言をした俺。
今日の俺どうかしてる...。いや、学校では普通だった。この女と会ってから俺の何かが可笑しくなってやがる。
クソォ...。どうしろっていうんだよ。
『素直に笑う...か。うん、ありがとう。やっぱり泣いてちゃダメよね』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：波瑠 | 作成日時：2017年3月20日 23時
