この感情を恋と言うならば【摂津万里】 (ページ19)

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『あのね、社会人を舐めないでくれる？16時に約束なんてやめてよね。仕事あるし上がれるわけないじゃないの。貴方のこと気になっておかげで早退しちゃったのよ。どうしてくれんの？』

カフェに入って席に着くなり、マシンガントークのA。

いや、マシンガントークってよりかは俺に対する文句っていう方があってんのか？

俺に嫌味ったらしい言葉ばかりでもそんなAの声ですら聞いていたいと思う俺はもう重症なのかもしれない。

「何？Aちゃん、俺のこと気になって仕事になんなかったの？やらしー！」

『はぁ！？そんな訳ないでしょ！？つーか、ちゃん付けやめて！年上からかうな！』

顔を真っ赤にさせて更に俺への文句を言うAを俺はケラケラと笑っていた。

『何笑ってんのよ』

Aは先ほど運ばれて来たアイスオレをストローで吸い、軽く上目遣いで俺を見た。

その顔、結構ヤベェな...。いろんな意味で。

「それ昨日、俺が飲んだヤツだよな？美味いだろ」

『うん。万里くんが飲んでるの見て美味しそうだったから』

Aの言葉に目を見開き、思わず動きを止めてしまう俺。

...まじか。予想外に来るな。不意打ちズリぃ。

『...ん？万里くんどうしたの？』

「別に」

素っ気なく呟いた俺は口元を左手で覆い、テーブルの上に肘をついた状態で視線を窓際に向ける。

今の顔をAに見られてたまるか。

絶対顔、赤ぇし。

「万里くん？」

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3度目。

呼ばれ慣れているはずの自分の名前がAに呼ばれるだけで特別に感じた。