story12 ページ13
部屋に戻ると真っ先にベッドへダイブした。
幸いにも兵頭は居なかった。こんなところ見られたくねぇよ。
今日、半日でいろんなことがありすぎた。コロコロと表情を変えるAが忘れられない。
中でもあの真っ赤な顔で潤ませた瞳で俺を見るヤツは本当にヤバかった...。
外じゃなかったらキスだけで済む自信ねぇし。
「はぁ...。こんな感情知らねぇし」
ため息とともに独り言を呟く。俺の呟きは誰にも聞かれることはなく消えていった。
.
.
ブーブー
そんな時、バイブ設定にしていた俺のスマホが鳴った。誰だよ...。
そう思いながらスマホを見ると至さんからのLIMEだった。
“1分”
それだけ書かれた至さんからのメッセージ。普通の人なら意味不明だと思う。
だけど、俺は分かってしまった。至さんが言いたいこの二文字に込められた意味を。
“1分以内に俺の部屋に来い”
至さんが俺に言いたいことは十中八九これに違いない。至さん、さっきまで対話室に居たじゃねぇか。
そう思いながら俺は重たい体をベッドからゆっくり起こす。
俺は至さんの部屋に向かった。
.
.
.
.
「遅い」
至さんの部屋に行くとゲーム画面から視線を晒さずに至さんは言った。
いや、1分は過ぎたかもしれねぇけどそんなに遅くねぇし。
LIME見てすぐ来たってのに。それよりその言葉、俺が寮に帰って来た時も聞いた気がする。
「ほら、するでしょ?」
そう言いながらゲームのコントローラーを俺に投げつけた至さん。
もう俺がやるのは決定事項みたいな言い方だな。
ま、やるけど。
「もちろん」
俺は至さんから受け取ったコントローラーを持ち、至さんの隣に座った。
101人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:波瑠 | 作成日時:2017年3月20日 23時