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智「うさぎちゃんはもう宿題終えた?
......そりゃあ終わってるよね。うさぎちゃんは優秀だもんね。
......あ。そうだ。秋の花壇はなんの花植えようか?
秋桜。とか植えてみたいなあ。」
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ペラペラ。あんまり話さない大野先生なのに気を使ってかたくさんお話ししてくれる。
智「夏休み早かったよねー。もうあと1日なんて。まあ、教師は夏休みとか関係ないんだけど。」
ザァ...と水の流れる音。
ホースを持ちながら先生が下がり眉で私のことを見る。
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A「あ、え......なんでしたっけ?」
智「ぇえ?うそ〜。今の全部聞いてなかったの〜?今たっくさん喋ったのに〜。」
A「あ...ごめんなさい...」
明日から始業式なんだな......課題は終わらせたからなんの問題もないけど......
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はぁぁ...
何度めかのため息に大野先生は“7回目だぁ”なんて律儀に数えてたみたい。
A「幸せ7回逃げましたね。」
智「そう?そんなにたくさん幸せなことってあるかなあ?」
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顔にクエスチョンマークが浮かんだのを読み取ったのか、先生はホースをくるくる巻きながら話す。
智「幸せだなぁ...って感じることは人それぞれの感性だけど。
そんなにたくさん幸せなことってないんじゃないかな〜って。」
A「私は幸せなことばかりですけど...」
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山田くんに出会えたことも。
結果はどうであれ、好きだと伝えたことも、私にとっては幸せだと思うけど。
智「それは君が優しいからだ。
うさぎちゃんが山田くんと上手くいっても俺は幸せにはならないし?」
そういうもん?なのか......。上手く返答できずにいるとクスクスと笑い声。
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智「なんてね〜。うそうそ。大事な生徒だもん。
生徒の幸せを一番に考えてるよ?こう見えてもね。」
ふにゃん、とした笑顔の大野先生がポンと手を打つ。
智「あー...課題テストの模範解答作んなきゃいけないんだった。」
また明日ね、と手を振る。
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先生の後ろ姿を見送って花壇の前に座り込む。
A「綺麗に咲いた...」
色とりどりのお花に、
ジャリ、と砂の擦れる音と、マリーゴールドにできる影。
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?(プロフ) - 続編がみたいです! (2021年8月25日 1時) (レス) id: 6c6c29d7b7 (このIDを非表示/違反報告)
伊織 - 何度も泣いて、お母さんに泣いてるということを気づかれないようにトイレに何度も行って泣いています!あすみさんの作品は全部泣きました! (2019年7月29日 14時) (レス) id: 1d8244df18 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 凄く面白かったです!2人のその後も見てみたいで! (2017年12月28日 2時) (レス) id: 91f530093b (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - また、山田くんとのお話見たいです!! (2017年5月7日 1時) (レス) id: 7216942a90 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ぶっきらぼうな態度ににやけました (2017年1月24日 16時) (レス) id: 44e1487778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あすみ | 作成日時:2016年7月21日 15時