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外に置いておいたローファーが暑さで少し柔らかくなってる。
コンクリートからの熱気がすごい。
小走りで門まで走ると、背を凭れて立っている山田くんがいた。
A「山田くん?...なにして......」
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A「なにか、忘れ物...?」
涼介「いや。待ってた。」
携帯をポケットにしまって。
A「待ってたって...」
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涼介「ウサギ。」
うさぎ。...私を待ってた?
A「...え、なんで......」
涼介「理由が要るのか?」
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A「え、...いや...」
こんなに外は暑いのに。
私を待っててくれた理由があるなら、聞きたいけど。
A「待っててくれてありがとう。」
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8月中旬。
セミの寿命は地上に出てから1週間と聞くけれど、
何週経っても鳴き止まない。
ビビッと綺麗ではない音を立てながら前を横切る。
A「あれ...山田くん......ここ曲がるんじゃ......」
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いつもなら山田くんが曲がる道をいつのまにか通り過ぎて。
涼介「コンビニに用がある。」
A「それなら向こうに...」
ファミマもマルケーもなんならローソンだって...
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涼介「セブンがいい。」
A「へえ...、」
涼介「ウサギも来る?」
よくわからないこだわりを持った山田くんの後ろ。
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行く、と頷いたけどコンビニなんか近くにあるところに行くばかり。
A「ちょ、そっち道じゃな...」
涼介「こっちのが近い。」
強引にも草が生い茂ったところに足を進める。
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好き勝手に伸びた草がくすぐったい。
A「山田く...、まっ...」
足場が悪いのによくそんなにスイスイと...
グイ、と引っ張られてやっと抜け道に出る。
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A「わ...あ......すごい...!」
涼介「......。」
空に向かって顔を伸ばす黄色の向日葵が並ぶ。
A「こんな綺麗な色した向日葵、初めて見たかも...」
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ねえって隣にいるはずの山田くんに呼びかけたらいなくて。
真後ろの目当てのセブンに入っていく。
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?(プロフ) - 続編がみたいです! (2021年8月25日 1時) (レス) id: 6c6c29d7b7 (このIDを非表示/違反報告)
伊織 - 何度も泣いて、お母さんに泣いてるということを気づかれないようにトイレに何度も行って泣いています!あすみさんの作品は全部泣きました! (2019年7月29日 14時) (レス) id: 1d8244df18 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 凄く面白かったです!2人のその後も見てみたいで! (2017年12月28日 2時) (レス) id: 91f530093b (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - また、山田くんとのお話見たいです!! (2017年5月7日 1時) (レス) id: 7216942a90 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ぶっきらぼうな態度ににやけました (2017年1月24日 16時) (レス) id: 44e1487778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あすみ | 作成日時:2016年7月21日 15時