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お財布には野口さんの1人もいないくらいだから…
だから、自販機のボトル一本買うのが精一杯で…
なんて心で訴えても届かない。
涼介「あっそ。」
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A「あ、…え…?」
“あっそ”とは…?
隣でお待ちくださいって店員さんに誘導される。
まぁ、あれだよね。
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お金ないなら仕方ないな、くらいのあっそだよね。
私だってお金さえあれば飲んだのに。
ああ…喉乾いた……
A「え?」
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涼介「ん。」
A「え!?…私、お金ないって……」
自分の分のはストローを加えて、差し出されたフラペチーノ。
涼介「やる。」
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A「なんで……倍にして返せとか言わない…?」
別に倍でも返せない額ではないけど…
私の言葉にはあ?って顔を見せる。
涼介「別にいい。こんくらい返さなくても。」
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A「いただきます…」
冷たいカップを両手で持ったらもう出口の方に向かってる。
私、飲むなら落ち着いて座って飲みたい派なんだけど…
奢ってもらっといてそこまではさすがに言えないけど。
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山田くんの一歩後ろを小走りで着いて行く。
A「山田くんっ……どこに…」
涼介「お前やっぱ俺の話聞いてなかったろ。」
A「え?!…そんな、ことは……」
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ギク、と肩が上がってしまう。
よかった。後ろを歩いてて。
A「聞いて、たよ…?」
涼介「ボーッと突っ立ってたじゃねえか。」
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涼介「ウサギが話聞いてないことくらいもうわかる。」
山田くんが言った言葉にどう返事していいかわからず黙っていると、ふわっと涼しい冷気が滲みる。
モールの中からは冷房の風が外とは違いすぎる温度で。
人が沢山いすぎて酔ってしまいそう。
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こんなとこに私と来て…何がしたいんだろう。
夏休みに、私が山田くんとなんて…
もし誰かに見られて学校で広まったら…?
いろんな意味で危なくないかな。
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涼介「ウサギ。」
A「は、はい!」
涼介「余所見してんな。」
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?(プロフ) - 続編がみたいです! (2021年8月25日 1時) (レス) id: 6c6c29d7b7 (このIDを非表示/違反報告)
伊織 - 何度も泣いて、お母さんに泣いてるということを気づかれないようにトイレに何度も行って泣いています!あすみさんの作品は全部泣きました! (2019年7月29日 14時) (レス) id: 1d8244df18 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 凄く面白かったです!2人のその後も見てみたいで! (2017年12月28日 2時) (レス) id: 91f530093b (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - また、山田くんとのお話見たいです!! (2017年5月7日 1時) (レス) id: 7216942a90 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ぶっきらぼうな態度ににやけました (2017年1月24日 16時) (レス) id: 44e1487778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あすみ | 作成日時:2016年7月21日 15時