13 ページ13
今日はいつもより早く。
山田くんより早く行かなきゃ。
昨日より気温が高いですね〜...なんてお天気予報士の人がテレビの向こうで言っていた。
確かに暑い。
・
・
・
・
暑すぎてふたつに結った髪の毛。
丸まったホースを出していると、足元に伸びる影で山田くんだと思った。
A「...おはよう......」
涼介「...お前来たのか。」
・
・
・
・
A「...え?」
ついに来るな、と...?
A「なんか...ごめんなさ......」
涼介「外出て平気なのかよ。」
・
・
・
・
A「...あ!元気です!...昨日は...ありがとう。」
そういった時には既に蛇口の方にいて、届いてるのかもわからなかったけど。
ホースから勢いよく出た水が太陽の光と交じって虹が出来る。
・
・
・
・
A「山田くんっ...!」
返事はしなかったけど一瞬視線だけこちらによこしてまた花壇に戻る。
A「...聞こえてますかっ...?!」
私の声と土に跳ね返る水の音。
・
・
・
・
A「やまだく...」
涼介「なんだよ。」
キュ、と蛇口が閉まった。
ホースを巻き取りながら今度はちゃんと目が合う。
・
・
・
・
A「...あの......えっと...」
涼介「なんもねぇなら帰る。」
ローファーがコンクリートを蹴る音。
隣を通り過ぎちゃう山田くんのふわっと香った香水。
・
・
・
・
A「ま、って!......ください...」
咄嗟に掴んだ背中のYシャツ。
振り返った山田くんに見下ろされるのはまだ少し怖いけど。
A「昨日の...借りたお金を......」
・
・
・
・
涼介「ああ......要らね。」
A「え、...でもっ......」
涼介「ウサギが元気になったんならいいよ。」
今のは。...今の...
・
・
・
・
熱い。頰が熱い。
また倒れそうなくらいにクラクラする。
急におし黙った私を見て不思議そうな顔をしてた山田くんだけど。
キュンってなったのは......どうかバレないで。
・
・
・
2334人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
?(プロフ) - 続編がみたいです! (2021年8月25日 1時) (レス) id: 6c6c29d7b7 (このIDを非表示/違反報告)
伊織 - 何度も泣いて、お母さんに泣いてるということを気づかれないようにトイレに何度も行って泣いています!あすみさんの作品は全部泣きました! (2019年7月29日 14時) (レス) id: 1d8244df18 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 凄く面白かったです!2人のその後も見てみたいで! (2017年12月28日 2時) (レス) id: 91f530093b (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - また、山田くんとのお話見たいです!! (2017年5月7日 1時) (レス) id: 7216942a90 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ぶっきらぼうな態度ににやけました (2017年1月24日 16時) (レス) id: 44e1487778 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あすみ | 作成日時:2016年7月21日 15時