23 たんじょう〜たいいん ページ23
お母さんは常位胎盤早期剥離を起こしてたんだ
それで大量出血を起こした
先生たちは必死に助けようとしてくれたけど
助けられなかった
風雅は生まれることは出来たけど血流が一時止まっちゃって脳に血液が行かなかったことで脳に障害が残った
一卵性双生児だった風雅の弟は風雅と同じように心臓が止まった状態で生まれてきたけど再び動き出すことはなかった
風雅が生まれて2ヶ月
先生から
「ものを見ることは出来ない」
「音を聞くことは出来ない」
「一生寝たきり
自分で動くことは出来ない」
「長く生きることは出来ない」
「感情を出すことは出来ない」
「口からごはんを食べることは出来ない」
「言葉を発することは出来ない」
たくさんの「出来ない」を突きつけられた
退院することは出来ないとも言われた
お母さんと弟を亡くした悲しみを乗り越えようとしている時にこの現実
本当に辛かった
生後半年の頃に気管切開の手術をして
初めてお鼻のチューブしか入ってない風雅の顔を見た
すっごく可愛かった
この子を一生守るって決めた瞬間だった
家から高速を使っても2時間かかるからなかなか面会に行けなかったけど休みの日は必ず行くようにしてた
たくさんの出来ないを告げられた風雅だったけど
少しずつ出来ることが増えていった
そして生まれてから2年
ようやく家に帰ることが出来たんだ
退院が決まってから看護師さんたちに医療的ケアのやり方を教えてもらった
退院の日たくさんの人に見送ってもらって涙が止まらなかった
退院してからの日々は戸惑いの連続だった
大介は体調を崩しちゃって入退院を繰り返したり
翔太は中学に入学したばかりで
斗亜は3歳になる前だからまだ手がかかる
風雅は24時間呼吸器管理が必要で
吸引も頻回だったから寝れない日が続いた
俺は高2で来年の受験に向けて頑張らないといけない時期でお父さんは仕事が忙しくてなかなか家に帰ってこなくておかしくなるかと思った
なんとかその日々を乗り越えて今があるんだ
大介と風雅の入院とかでみんな一緒に暮らせない日が多いからこそみんなで暮らせる今を大切にしようって思ってるんだ
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作者名：ひのか | 作成日時：2021年6月21日 23時
