20 ふうががうまれたひ ページ20
辰哉Side
風雅が生まれたのは2月下旬
とても寒い日で雪が降ってた
妊娠37週
妊娠経過は順調そのもの
俺たちは弟たちが生まれるのを楽しみにしてた
その日俺はお母さんと弟たちの5人で家にいた
突然お母さんがお腹を押さえて倒れたんだ
陣痛かなって最初は思った
でも弟たちの時と痛がり方が違う
すぐに119して救急車を呼んだ
お父さんにも電話したけど出なかった
ただでさえ不安だったのに更に不安になった
5分くらいして救急車がきた
状況を一生懸命伝えて
1人しか乗っていけないから悩んだけど
当時10歳の翔太に大介と1歳の斗亜を頼んで着いて行った
いつも検診を受けている病院に着いて
すぐに先生に見てもらって
緊急帝王切開になった
俺は手術室の前で待ってた
なかなか出てこないなって思ってたら
医師と看護師が慌てて中に入って行った
それから少しして保育器に入った風雅が出てきた
ひと目見させてもらった
風雅は口にチューブが入ってて体は青白かった
手足もだらーんとしてて力がないように見えた
大丈夫なの？って不安に思った
別のお部屋で見るからと風雅が入った保育器は先生たちに押されて行った
あれ？ふたごじゃなかったっけ？
もう1人は？
しばらく待ってたけど一向に出てこない
それからお母さんともう1人の子が出てくるのを待ってた
待ってる時さっき見た風雅のこと
家に置いてきた弟たちのこと
お母さんのこと
もう1人の子のことで頭がいっぱいだった
結構な時間が経ってやっと先生たちが出てきた
開口一番
「大人の人いる？」
って聞かれた
俺は
「お父さんに電話したけど出なかった」
って言った
「そっか…」
「ねえ！お母さんともう1人の子は？」
「先生からお父さんに電話してくるから待ってて」
こう言われて考えないわけないよね
大丈夫だったら大丈夫って言う
でも言わなかった
ということはお母さんともう1人の子は…
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作者名：ひのか | 作成日時：2021年6月21日 23時
