館と記憶と彼の手 ページ6
私の行くあてが決まった直後です。
どういう原理か、先程まで“無”だった空間に、色がつき始めました。
黒、白、赤、青、黄、緑、水色、橙色、紫・・・
色が少しずつ増え、広がっていきました。気づけば、辺りには草花、木などが生い茂りました。さらに、上を見上げれば青く晴れわたる空と、その中にまばらに浮かぶ白くフワフワした雲。
そして・・・
『！！』
正面に顔を向けると、目の前には大きな館が建っていました。
「ここは、私達…私達、獄卒が暮らす館だ」
『！？』
獄卒…人間とは違う雰囲気を持っているなとは、私も感じていました。
獄卒ということは、鬼・・・
鬼？
『！！！』
鬼と言う単語を頭に浮かばせた瞬間、私の頭の中に、一瞬の記憶が流れていきました。
(おっはよ〜、忌み子ちゃん♪今日も俺らに殴られてねっ)
(うわっ！痛そ！でも、忌み子だから痛みとか無いよね)
(お前はさ〜、生きてる価値ないんだよね。だってお前、悪い鬼の血を引く子供…【大罪の忌み子】だもんな〜！)
そう。私は【大罪の忌み子】。
人間に迷惑をかける行動しか起こせなかった、悪い鬼の子供でした。
生きる価値のない私は、こうして死んでいます。これは、良かった事なんでしょうね。
「…い…おい！聞こえているか。どうしたんだ」
肋角さんが私の肩を掴んで揺さぶります。頭に響きます。
…本来なら私は、誰かと会話を交わす事すら罪…だから、喋る事もできなかったんですね。
私には、今更ながらも大切な事実を思い出した。と、肋角さんの掴む手を払い除け、首を横に何度も振ります。
その姿をみた肋角さんは、何かを察したように、目を細めました。そして、私の目をしっかりと見据えて、言いました。
「…お前が何を思っているのかは、だいたい察しがついた。だがな、ここは獄都、妖怪も亡者も入り混じる世界だ。そんな場所で、今更悪鬼の子を嫌がる奴なんていると思うか？まぁ、お前が何かしでかすつもりなら話は別だがな。」
そんなことは絶対しない。
私は首を横に振りました。
「なら、何も心配することはない。さぁ、館に入ろう。Aには説明しなければいけないことが沢山ある」
そう言って、私の手をとって肋角さんは館の中へと私を引っ張っていきました。
手を握られることなんて、生きていたころには体験したことがなかった私は、慣れない手の感触に、何故か嬉しくなりました。
肋角さんの手は大きくて、冷たくも、どこか暖かかったです。
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鈴 - マシュさん» コメントありがとうございます。佐疫くんファンがここにも…！ hit数の節目に更新するので、どんどん読んで頂ければ、更新速度が上がりますよ。(催促) (2015年4月5日 13時) (
レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
マシュ(プロフ) - とても面白かったです!私も佐疫さん好きなんですよ!更新お待ちしております♪ (2015年4月5日 12時) (レス) id: bfb0e46d45 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - charlotteさん» わぁ、本当ですね。興奮しながら打ってたんです…ご指摘ありがとうございます。直しておきますね。 (2015年4月4日 9時) (レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
charlotte(プロフ) - 照明が証明になってますよー (2015年4月4日 6時) (レス) id: 563efb1be8 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇イローズ(プロフ) - 鈴さん» ええっと、ま、まずそれを見てほしいっす！ (2015年4月3日 21時) (レス) id: cf514ca94f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴 | 作成日時：2015年3月30日 21時
