謝罪と初の死と空腹 ページ38
目を開けると、私は自分の部屋のベッドに寝ていました。
『あ…あれ?』
「A?あぁ、良かった。意識が戻ったんだね」
声のした方を見ると、佐疫さんが安心した顔をしていて。その後ろに、斬島さんや他の獄卒の皆さんがいました。
私はどうしてここに…?
『私は何を…っ!…』
先ほどまでの事を思い出そうとしましたが、亡者の姿しか思い出せません。その後を思い出そうとすると、頭が痛みました。
「大丈夫。何も思い出さなくていいんだよ」
そう言って、佐疫さんはニコッと微笑みます。
そうは言っても…。
なおも思い出そうとする私ですが、その時、首に痛みが走りました。
そこに手をやると、包帯が強く巻かれています。
『これは…やっぱり何かあったんじゃ…』
「それは俺がやった。やむを得ない状況だったんだ。すまない」
そう言って、斬島さんが頭を下げてきました。
その姿を見ると、こちらが申し訳なくなりました。
『あ、いえ、大丈夫ですよ。きっと私が何かしでかしたんでしょうね。それを止める為なら、仕方ないですよ』
慌てて笑顔を作ると、彼は「そうか」と言って頭を上げました。あ、結構あっさりしてるんですね…。
『あ!それで、亡者は!?』
「大丈夫。俺達でちゃんと捕まえたよ」
『あ、それならよかったです…』
私の意識の無いうちに、逃げられでもしたら大変でしたからね。一安心です。ホッと息を吐きました。
そんな私を見て、佐疫さんと斬島さんが複雑そうな顔をしていたのが不思議ですが、気にしないことにしました。
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『しかし、首が斬れたということは、私、死んでたんですね…それでも、こうして動いています…』
それは、とても不思議な感覚で、言葉に表せない気持ちになります。
「俺も、初めて死んだ時は、なんだこれってなったよ。でも、慣れるとどうってことなくなってくるね」
そう言って笑う佐疫さん。
何度も死ぬのはどうかと思うのですが…。
今度、意識のある時に死んでみたいですね。
そんな、生者が聞いたら、「何を恐ろしいことを…」となるような事を考えていると、小さくお腹が鳴りました。
『あ…』
羞恥心に、顔が赤くなっていきます。
「ふふっ。もうこんな時間だし、お腹も空くよね。俺がご飯作ってあげるよ。Aの再生祝いだ」
そう言ってニッコリ笑う佐疫さん。
彼の料理は美味しいので、楽しみです。
この時には、私は、今日の亡者のことなんて忘れきっていました。
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鈴 - マシュさん» コメントありがとうございます。佐疫くんファンがここにも…! hit数の節目に更新するので、どんどん読んで頂ければ、更新速度が上がりますよ。(催促) (2015年4月5日 13時) (レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
マシュ(プロフ) - とても面白かったです!私も佐疫さん好きなんですよ!更新お待ちしております♪ (2015年4月5日 12時) (レス) id: bfb0e46d45 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - charlotteさん» わぁ、本当ですね。興奮しながら打ってたんです…ご指摘ありがとうございます。直しておきますね。 (2015年4月4日 9時) (レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
charlotte(プロフ) - 照明が証明になってますよー (2015年4月4日 6時) (レス) id: 563efb1be8 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇イローズ(プロフ) - 鈴さん» ええっと、ま、まずそれを見てほしいっす! (2015年4月3日 21時) (レス) id: cf514ca94f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴 | 作成日時:2015年3月30日 21時