焦りと落ち着きと桜鬼 ページ37
〜佐疫視点〜
あぁ、不覚だった。
さっきは何も無かったからって、Aへの注意が薄れていた。
守ってあげるとか言っておきながら、俺は何もできていないじゃないか。
「斬島！どうしよう！Aが、Aが！」
「落ち着け佐疫。Aは大丈夫だ」
Aが連れ去られたというのに、斬島はどうしてそんなに冷静でいられるんだ。
「何で、何で大丈夫だって言い切れるの？どうして冷静でいられるの？」
俺は、まだ焦りを残しながら、斬島に問いかける。
「俺だって焦ってはいる。だが、ここでもたついていても仕方がない。俺達は、俺達ができることをしなければならない。違うか？」
「…違わ、ない。…そっか、そうだよね。じゃあ、俺達はAと亡者を見つけ出さないとね」
流石だ、斬島は。
焦っても、すぐに切り替えて、自分のすべきことを探そうとする。
こんな奴だからこそ、俺は信頼できるんだ。
斬島のお陰で、気持ちがだいぶ落ち着いた。
「あの亡者は、何か目的があるみたいだった。なら、Aを簡単には殺さないだろう。…かと言って、ゆっくりはしていられない。なるべく速くAを救いださないとな」
「そうだね。…いるとしたら、この壁の奥なんだけど…。あいつ、相当な力を持ってるよ。強力な結界が張ってある」
通常の亡者が張った程度の結界なら、弾の一発で壊せるんだけど…。強力な結界となると、数分はかかる。
「斬島。やるよ」
「分かっている」
・
・
・
数分後。俺と斬島の攻撃で、結界は派手な音をたてて崩れ去った。
「A！」
壁に現れた穴に、俺は迷うことなく飛び込んだ。
しかし、そこで見たのは…
「な、何これ…」
そこにAはいたんだけど、その姿が凄かった。
銀色の前髪の間から、大きな二本の角が生えていて、うっすらと開いた口からは、大きな牙が数本見えていた。いつもは悲しげな光を灯す桜色の瞳は、今はその怒りを表すようにギラギラと光っている。そんな彼女の周りには、砕けた鏡の破片のようなものが散らばっていて…。
そして、彼女は、両手にナイフを持ち、それを亡者に突き刺していた。
亡者は既に息絶えている。
「A！何してるの！？」
俺が叫ぶも、彼女には聞こえていないらしく、その手を止めない。
「退けろ、佐疫。あの状態では、殺るしかない」
そう言って、飛び出していく斬島。
俺が待ってと言う前に、Aの首は斬り落とされていた。
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鈴 - マシュさん» コメントありがとうございます。佐疫くんファンがここにも…！ hit数の節目に更新するので、どんどん読んで頂ければ、更新速度が上がりますよ。(催促) (2015年4月5日 13時) (
レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
マシュ(プロフ) - とても面白かったです!私も佐疫さん好きなんですよ!更新お待ちしております♪ (2015年4月5日 12時) (レス) id: bfb0e46d45 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - charlotteさん» わぁ、本当ですね。興奮しながら打ってたんです…ご指摘ありがとうございます。直しておきますね。 (2015年4月4日 9時) (レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
charlotte(プロフ) - 照明が証明になってますよー (2015年4月4日 6時) (レス) id: 563efb1be8 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇イローズ(プロフ) - 鈴さん» ええっと、ま、まずそれを見てほしいっす！ (2015年4月3日 21時) (レス) id: cf514ca94f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴 | 作成日時：2015年3月30日 21時
