同情と不意打ちとあざとい？ ページ34
『えっと、それで、今回の仕事内容は何でしたっけ？』
「何だ。聞いていなかったのか？」
『考え事をしながらでしたので…頭に入っていませんでした』
自分では聞いているつもりだったのですが…話は集中して聞かないといけませんね。
そんな私に、はぁ…と軽く溜め息を吐きながらも、斬島さんは説明してくれました。真顔以外の表情初めて見ました。
「今回は、廃校に住み着く亡者の捕獲だ。その亡者は、クラス内での差別に耐えきれず、首を吊った女子生徒の霊だ。死んでから長い時間が経っていて、異形化しかけているらしい」
『差別…ですか』
差別と言われると、どうしても他人事とは思えなくて、私はその亡者に同情しかけました。
「駄目だよ。生前がどんな境遇であっても、亡者が生者に危害を加えるのはご法度。同情なんてして取り逃したら、それこそ生者に危険だし、その亡者も苦しみが続くだけなんだから」
そうですよね…。
私は、考えていたことを振り飛ばすように、首を数回振りました。
「あ、シャンプーのいい匂いがした」
『佐疫さん！？』
そうでした。すっかり忘れていました。この人は、思ったことを包み隠さずに言う人でした。
この件は何度もやってはいるのですが、不意打ちすぎた発言に、顔が真っ赤になります。
「ふふっ…真っ赤だよ。可愛いなぁ」
『あー、もうっ！やめてください！』
「…夫婦かお前達は」
『斬島さんは、何を言っているんですか！？』
佐疫さんはニコニコしていますし、斬島さんは真顔ですし…。
恥ずかしさが増すばかりです。
あまりにも恥ずかしいので、顔を手で覆ってしまいました。
…けど、安心しました。
勘違いとは言えども、あんな空気の後なので、もっと静かになってしまうと思っていましたから。
『えへへ…』
安心感に、顔が綻びました。
「…どうしたのA？急に可愛い笑い方して。あざといよ？」
『あ、あざとい…？』
「うん。あざとい。俺を殺しにかかってきてる」
『そ、そんなつもりは…』
「分かってるよ」
そう言って、彼はニコッと笑いました。気のせいでしょうか。背中に天使の羽が見えます。
あざといのは貴方ではないでしょうか。
「仲がいいのを邪魔する気はないんだが…もう着いたぞ」
『あ、すみません』
斬島さんが、少し遠慮がちに到着を伝えてくれました。
隣の佐疫さんは、すでに仕事モードに入っていて、天使の笑顔から薄い笑みへと変わっていました。
さぁ、頑張りますよ。
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鈴 - マシュさん» コメントありがとうございます。佐疫くんファンがここにも…！ hit数の節目に更新するので、どんどん読んで頂ければ、更新速度が上がりますよ。(催促) (2015年4月5日 13時) (
レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
マシュ(プロフ) - とても面白かったです!私も佐疫さん好きなんですよ!更新お待ちしております♪ (2015年4月5日 12時) (レス) id: bfb0e46d45 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - charlotteさん» わぁ、本当ですね。興奮しながら打ってたんです…ご指摘ありがとうございます。直しておきますね。 (2015年4月4日 9時) (レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
charlotte(プロフ) - 照明が証明になってますよー (2015年4月4日 6時) (レス) id: 563efb1be8 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇イローズ(プロフ) - 鈴さん» ええっと、ま、まずそれを見てほしいっす！ (2015年4月3日 21時) (レス) id: cf514ca94f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴 | 作成日時：2015年3月30日 21時
