勘違いと真意と元通り ページ33
所変わって、ここは館の外です。
今回の仕事場に向かうため、私達は道を歩いていきます。
斬島さんは前を歩いて行き、私と佐疫さんは横に並んでいます。
並んではいるのですが、私と彼の間には微妙な距離が…。
二人の間には沈黙しかなく、斬島さんも、変に空気を読んだのか何も話しません。砂利を踏む音だけが、虚しく響いています。
「あの、さ…」
沈黙に耐えかねたのか、佐疫さんが口を開きました。
「結局、Aは、俺の優しさをどう思ってるの？」
どう思ったか…そうですね。
『ありがたいと思っていますよ』
「…じゃあ、どうして遠慮するの？」
『それは…その…』
私の返答を待つように、彼は私をじっと見ています。
『優しさに…慣れないから、ですかね？』
「えっ？」
『えっ？』
彼の拍子抜けしたような表情に、私もポカーンとしてしまいました。
暫しの沈黙の後に、彼は…
「…俺が、嫌いなんじゃないの？」
『そ、そんなこと、あるわけ無いじゃないですか！』
彼は何を言っているのでしょうか。
嫌いだなんて、私は一言も言っていません。
「…なんだ、そうだったんだ。俺、Aに、あまりにしつこいから嫌われたのかと思っちゃった」
『嫌いだなんて、そんな…寧ろ、私は佐疫さんのこと好きですよ』
「えっ」
彼の顔が、みるみるうちに真っ赤に染まっていきます。
あ、違う意味で捉えられたかもしれません。
『あ、いや、恋愛感情とかじゃなくてですね…友達というか、家族というか…とにかく、そういう意味じゃありません！』
「なーんだ。残念」
そう言って、口を尖らせる佐疫さん。可愛いですが、残念ってどういうことでしょうか。
『佐疫さん。残念って、どういう…』
「話は解決しただろう。なら、早く仕事に行こう」
彼の真意を知ろうとすると、今まで沈黙を守っていた斬島さんが遮ってきました。この真面目さんめ。
仕方がないので、彼の真意を聞くのは、また今度にしましょう。
「ふふっ…この気持ちは、いつか絶対に伝えるから」
佐疫さんが何か言っていましたが、小さい声だったので聞き取れませんでした。
『何か言いましたか？』
「んーん。何でもない」
そう言って、ニコッといつもの笑顔で笑う彼。あぁ、可愛いです。
こうして、無事にすれ違いが解決した私達は、和やかなムードで仕事場へと向かいました。
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鈴 - マシュさん» コメントありがとうございます。佐疫くんファンがここにも…！ hit数の節目に更新するので、どんどん読んで頂ければ、更新速度が上がりますよ。(催促) (2015年4月5日 13時) (
レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
マシュ(プロフ) - とても面白かったです!私も佐疫さん好きなんですよ!更新お待ちしております♪ (2015年4月5日 12時) (レス) id: bfb0e46d45 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - charlotteさん» わぁ、本当ですね。興奮しながら打ってたんです…ご指摘ありがとうございます。直しておきますね。 (2015年4月4日 9時) (レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
charlotte(プロフ) - 照明が証明になってますよー (2015年4月4日 6時) (レス) id: 563efb1be8 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇イローズ(プロフ) - 鈴さん» ええっと、ま、まずそれを見てほしいっす！ (2015年4月3日 21時) (レス) id: cf514ca94f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴 | 作成日時：2015年3月30日 21時
