死後と無と緋色 ページ4
『…?』
私は死んだ。その筈です。
けれど、頭はしっかりと考えることができています。これはどういうことか。
とりあえず、現状を把握するために私は目を開けてみました。
『!』
目の前に広がった景色…それは、一言で表すなら、“無”でした。
上も下も、右も左も…。何もかもが真っ暗。いや、真っ白?真っ青?
色があるはずなのに、認識できない。そんな、“無”でした。
コツ…コツ…
理解できない“無”に悩んでいると、どこからか足音が聞こえてきました。前?後ろ?“無”の中での識別は難しいけれど、目を辺りに向けていると、ふと、視界に緋色が入り込みました。
その緋色は、“無”の中で迷うことなく私の方に向かって来ます。
コツ…コツ…
気がつくと、緋色は私の目の前に立っていました。
緋色は、私を見るや、緋色…の目をスッと細め、珍しそうなものを見る顔をしました。
「ほぅ…まさか、この様な場所で悪鬼と出くわすとはな」
緋色は、身長が高すぎて見上げる格好になっていた私と目線を合わせる為か、スッと屈みました。
「貴様…名はなんと言う?」
名前?名前…名前。
名前なんて、あるはずがない。
だって、私は、忌み子だもの。
私は、名前が無い事を緋色に伝える為に、首を横にふるふると振りました。
「?…あぁ、そうか、名前がないか。なるほどな」
緋色は一人、納得した様子を見せました。緋色が一体何を考えているのか分かりません。
「ならば、私が名を付けてやろう貴様は・・・
Aだ
それでいいか?」
『!』
A…私は、自分の名前なんて持ったことはありません。持たない物だと思っていました。
それが、今、目の前の緋色に、あっさりと与えられました。
なんだか、嬉しくなりました。
私は、首を大きく縦に振りました。
私は、Aです。
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鈴 - マシュさん» コメントありがとうございます。佐疫くんファンがここにも…! hit数の節目に更新するので、どんどん読んで頂ければ、更新速度が上がりますよ。(催促) (2015年4月5日 13時) (レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
マシュ(プロフ) - とても面白かったです!私も佐疫さん好きなんですよ!更新お待ちしております♪ (2015年4月5日 12時) (レス) id: bfb0e46d45 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - charlotteさん» わぁ、本当ですね。興奮しながら打ってたんです…ご指摘ありがとうございます。直しておきますね。 (2015年4月4日 9時) (レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
charlotte(プロフ) - 照明が証明になってますよー (2015年4月4日 6時) (レス) id: 563efb1be8 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇イローズ(プロフ) - 鈴さん» ええっと、ま、まずそれを見てほしいっす! (2015年4月3日 21時) (レス) id: cf514ca94f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴 | 作成日時:2015年3月30日 21時