検索窓
今日:19 hit、昨日:0 hit、合計:35,904 hit

死後と無と緋色 ページ4

『…?』

私は死んだ。その筈です。
けれど、頭はしっかりと考えることができています。これはどういうことか。
とりあえず、現状を把握するために私は目を開けてみました。

『!』

目の前に広がった景色…それは、一言で表すなら、“無”でした。
上も下も、右も左も…。何もかもが真っ暗。いや、真っ白?真っ青?
色があるはずなのに、認識できない。そんな、“無”でした。


コツ…コツ…


理解できない“無”に悩んでいると、どこからか足音が聞こえてきました。前?後ろ?“無”の中での識別は難しいけれど、目を辺りに向けていると、ふと、視界に緋色が入り込みました。
その緋色は、“無”の中で迷うことなく私の方に向かって来ます。


コツ…コツ…


気がつくと、緋色は私の目の前に立っていました。
緋色は、私を見るや、緋色…の目をスッと細め、珍しそうなものを見る顔をしました。

「ほぅ…まさか、この様な場所で悪鬼と出くわすとはな」

緋色は、身長が高すぎて見上げる格好になっていた私と目線を合わせる為か、スッと屈みました。

「貴様…名はなんと言う?」

名前?名前…名前。

名前なんて、あるはずがない。
だって、私は、忌み子だもの。

私は、名前が無い事を緋色に伝える為に、首を横にふるふると振りました。

「?…あぁ、そうか、名前がないか。なるほどな」

緋色は一人、納得した様子を見せました。緋色が一体何を考えているのか分かりません。

「ならば、私が名を付けてやろう貴様は・・・

Aだ

それでいいか?」

『!』

A…私は、自分の名前なんて持ったことはありません。持たない物だと思っていました。
それが、今、目の前の緋色に、あっさりと与えられました。
なんだか、嬉しくなりました。

私は、首を大きく縦に振りました。



私は、Aです。

現実と無くした記憶と肋角→←プロローグ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
48人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- マシュさん» コメントありがとうございます。佐疫くんファンがここにも…! hit数の節目に更新するので、どんどん読んで頂ければ、更新速度が上がりますよ。(催促) (2015年4月5日 13時) (レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
マシュ(プロフ) - とても面白かったです!私も佐疫さん好きなんですよ!更新お待ちしております♪ (2015年4月5日 12時) (レス) id: bfb0e46d45 (このIDを非表示/違反報告)
- charlotteさん» わぁ、本当ですね。興奮しながら打ってたんです…ご指摘ありがとうございます。直しておきますね。 (2015年4月4日 9時) (レス) id: 6ac78f6ee2 (このIDを非表示/違反報告)
charlotte(プロフ) - 照明が証明になってますよー (2015年4月4日 6時) (レス) id: 563efb1be8 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇イローズ(プロフ) - 鈴さん» ええっと、ま、まずそれを見てほしいっす! (2015年4月3日 21時) (レス) id: cf514ca94f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2015年3月30日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。