からの悪酔い騒動 ページ5
金箔酒を美味しい美味しいと飲み続けて、気が付けば２人でほぼ満タンだった一升瓶を一本空けていた。
「一本空いちゃいましたね」
「えーもう？美味しかったのに」
「ふふ、わたしも誰かと家で飲むのは久しぶりだったので飲みすぎちゃいました」
ふと時計を見るともう日付が変わる直前で、後方ではリビングのテーブルをたたんでソファ組がわっせわっせと布団を敷き始めていた。
手伝いに行かなければと椅子から降りようとすると、それに気が付いたのか木舌さんの大きい手がわたしの腕を掴む。
「木舌さん？」
「もうちょっと、２人でいようよ」
小さな声で囁いて、わたしの顔を覗き込んでへにゃりと笑って見せるから。わたしは断れずに再び座り直した。
「獄都の飲み屋でもこんな気立てのいい子滅多にいないよ」
「それはどうも。というより木舌さんって、そういうところに行くんですね」
「えー？」
「獄卒の人たちって、なんていうか、男性だけで行動してそうでしたから。意外だなって」
「･･･妬いた？」
「あはは、それはどうでしょう」
木舌さん、だいぶ酔ってるなあと呑気に考えて空のグラスを彼の手からひょいと取り上げる。不意に腰あたりになにか当たっているような感触がした。
「？」
「おれだったら、多分妬いちゃうなあ」
ぐいと強い力で腰を引き寄せられて抵抗する間もなく、木舌さんの懐におさまってしまった。
「き、木舌さ、」
引き寄せられたときに椅子から落ちてしまって立っている状態でも木舌さんの方が背が高い。いや、そんなこと考えてる場合じゃない、これ完全に酔ってますわ。
わたしの首筋に口元を埋めて、本格的に腰に抱き付いてきた彼をはぎ取ろうと奮闘するも力で敵うはずもなく。ちくりと、痛みを感じた。ソファ組の誰かに助けを求めようと顔を上げた瞬間、目の前には既に影が２つ、
すぐそこで鈍い殴打音が聞こえたと思ったら、わたしは真っ暗な世界にいた。いや、誰かに抱きしめられているんだって分かるのにそうかからなかった。
「ごめんねAちゃん。ちょっと見せられないから」
真上から佐疫くんの優しい声が降ってくる。
「抜け駆けか、木舌」
「え、ちょ、斬島、待っ」
寒気がするほど冷静な斬島くんの声がして、その後木舌さんの声にならない声が響いた。
状況が理解できないままわたしはロフトの寝床まで佐疫くんに運んでもらってそのまま眠りにつかされた。
翌朝リビングには床に額をこすりつけて謝る木舌さんがいた。
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まびの。(プロフ) - 鈴菜さん» 鈴菜さん、コメントありがとうございます！こんな化石のような小説に……わたしの願望(欲望)を詰め込んだ木舌さんになっておりまして恐縮ですが、可愛いと思っていただけて幸いです( ^o^)続編…途中までですが、よろしくお願いします…… (2020年8月24日 20時) (
レス) id: 744b07ad85 (このIDを非表示/違反報告)
鈴菜 - 木舌さんがいちいち可愛いんですよ…！(嬉)もう、最後の方は涙が…。続編も読ませて頂きます！ (2020年8月23日 17時) (レス) id: 887197f4b6 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 最後で泣きそうになってしまいました・・・・でもとっても面白かったです！ (2016年7月6日 20時) (レス) id: bf8b5df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
みっきーω・`(プロフ) - ひょええ…冬だからサムイな…サイトですか…お手数ですが、URLをはっていただいてもよろしいでしょうか？ (2015年11月29日 3時) (レス) id: 332ae38f5d (このIDを非表示/違反報告)
まびの。(プロフ) - みっきーω・`さん» これは･･･みっきーさんが風邪をひく前に更新しないと･･･（笑）今はツクールでの執筆はやめてサイトの方で更新しているので、終わるとしたらそっちでかなあと思ってます。頑張りますね！ (2015年11月29日 3時) (レス) id: 5abcfed697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まびの。 | 作成日時：2015年2月28日 14時
