お揃いの贈り物 ページ39
「これ、Aちゃんに」
彼はカウンターの下に潜り込むと隅の方に隠すように置いていたものを取り出して、わたしに差し出した。それは綺麗にラッピングされているけれど、どこかで見たような形だった。
「ちょっと待ってください。わたしも木舌さんにプレゼントがあるんです」
彼からのプレゼントを受け取る前に玄関へ走る。廊下の隅に置いていた大きめの紙袋を手に取って慌てて彼の元へ。そうして２人でプレゼントを交換する。
「なんか大きいけど、見ていい？」
わくわくしている彼に何度も頷く。彼は嬉しそうに鼻歌なんか歌いながら紙袋の中から一本の瓶を引っ張り出した。
「これ、おれの顔？」
一本のワイン。そのラベルには木舌さんの似顔絵が書いてあって、顔の下には筆記体で彼の名前が入っていた。紙袋の中にはもう一本瓶が入っている。
「おお、Aちゃんだ！」
もう一本にはわたしの似顔絵。同じく筆記体で名前が入っている。
「あの、それ、机に並べて置いてみてください」
嬉しそうにそれを抱きかかえる彼は少し名残惜しそうにわたしの言う事に従った。ぴったりとくっつけて並べると、
「あ、すごい、ハートになってる」
よくある２つくっつけたらハートになるキーホルダーみたいな、あれ。酒屋のおじさんに無理を言って３日で仕上げて貰ったもの。どうしても彼という存在を形に残しておきたくて。
「木舌さんのも開けていいですか？」
「あー、うん」
若干苦笑交じりに許可をしてくれた彼に首を傾げながらも封を開ける。それはわたしが好きな甘い洋酒。しかも、ラベルには木舌･Aの文字が。
「はは、被っちゃったね」
頬を掻きながら笑う彼。
「むしろAちゃんの方が凄いか」
「ちょっと重いかなって思ったんですけど」
「まさか。夫婦みたいで素敵だよ」
「夫婦になれたらいいんですけど」
思わず出てきてしまった。でもそれは純粋な本音。
「だって優しくして、好きにしたクセに。キスマークだって、つけたクセに。なのに、傍に居てくれないだなんて木舌さんの方がよっぽどずるいです。わたし、今更他の男の人なんか好きになれないのに･･･っ」
言っている途中そっと、頬に手が添えられた。
「我儘言っちゃうお口は塞いじゃおうかな」
顔を上げられた瞬間すぐそこにあった彼の顔。唇同士が触れて、そっと離れた。
「おれは、この可愛いお口に好きって言って欲しいな」
にこりと彼が微笑むけれど、喉が震えて言葉が出なかった。
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まびの。(プロフ) - 鈴菜さん» 鈴菜さん、コメントありがとうございます！こんな化石のような小説に……わたしの願望(欲望)を詰め込んだ木舌さんになっておりまして恐縮ですが、可愛いと思っていただけて幸いです( ^o^)続編…途中までですが、よろしくお願いします…… (2020年8月24日 20時) (
レス) id: 744b07ad85 (このIDを非表示/違反報告)
鈴菜 - 木舌さんがいちいち可愛いんですよ…！(嬉)もう、最後の方は涙が…。続編も読ませて頂きます！ (2020年8月23日 17時) (レス) id: 887197f4b6 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 最後で泣きそうになってしまいました・・・・でもとっても面白かったです！ (2016年7月6日 20時) (レス) id: bf8b5df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
みっきーω・`(プロフ) - ひょええ…冬だからサムイな…サイトですか…お手数ですが、URLをはっていただいてもよろしいでしょうか？ (2015年11月29日 3時) (レス) id: 332ae38f5d (このIDを非表示/違反報告)
まびの。(プロフ) - みっきーω・`さん» これは･･･みっきーさんが風邪をひく前に更新しないと･･･（笑）今はツクールでの執筆はやめてサイトの方で更新しているので、終わるとしたらそっちでかなあと思ってます。頑張りますね！ (2015年11月29日 3時) (レス) id: 5abcfed697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まびの。 | 作成日時：2015年2月28日 14時
