スキャンダルと獄卒 ページ35
ガタン―――･･･
不意にリビングの方から物音がして、あと少しというところで木舌さんが動きを止めた。
体勢は変えずに耳を澄ます。もう物音はしない。しんと静まり返った部屋、ふと何かが聞こえてくる。
「き、斬島、今行っちゃダメだって、」
「ダメだ、止める」
「あーあ、今良いとこだったのに！」
「しーっ、平腹声大きい！」
「うるせぇ･･･つか、だるい」
「良いから手を放せ佐疫。木舌に仕置きをしなければ」
「いやだから今回はAちゃんも嫌がってないからっ」
「つーかあと数センチじゃん、いいからくっつけばいいのに」
「ああもうそうやってムードを壊すんだから･･･」
「貴様らいい加減にせんか！やかましいぞ！」
「うわびっくりした！谷裂が一番うるせーよ！ていうか今良いところなんだから、」
ぱちん。
小気味良い音と一緒に一気に部屋が明るくなる。
聞こえていた潜めるつもりのないひそひそ話がぱったりと途切れて、色とりどりの目がこちらを向いた。
「何がいいところだって？」
わたしの一言に全員の動きがとまって。
佐疫くんが何もないよ！と両手をぱたぱた振って、手が離れた隙に斬島くんは木舌さんの方に走って行って、平腹は慌てて布団に戻って、慌てすぎて田噛くんの布団に入って蹴り飛ばされた。
後ろの方、カウンターで木舌さんの目が、目があああ！というどこかで聞き覚えのある悲鳴をあげて、目潰しでもされたのかと慌てて駆け寄るとさっと斬島くんが近寄らせまいと間に入った。
「人間には少し衝撃的だろうから見ない方がいい」
「え、ちょ、木舌さんに何したの！？」
「ちょっとな。それと簡単に木舌に甘い態度をとるな。あいつが獄都で何人の女を泣かせたと、」
「ちょっと！Aちゃんにあることない事吹き込まないで！」
斬島くんの後ろで非難の声をあげる彼に斬島くんはチッと軽く舌打ちをして、まだ喋るか･･･と呟いた。もういいからと彼を獄卒さんたちの寝床に引っ張って行って。早く寝るように言って、わたしも梯子に手をかけた。でも、足が登ろうとしない。
「Aちゃん？どうかした？」
「･･･みんなと、寝たいな」
「じゃあ、俺の隣で寝るか」
「俺もAの隣で寝る！」
「斬島と俺の間で寝ようか」
「えー！じゃあA、明日は俺の隣な！」
「蹴られそうだからやだ」
「俺そんなに寝相悪くねーし！」
明日は。
当然明日が来るような言い方に、嬉しくもあり切なくもあった。
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まびの。(プロフ) - 鈴菜さん» 鈴菜さん、コメントありがとうございます！こんな化石のような小説に……わたしの願望(欲望)を詰め込んだ木舌さんになっておりまして恐縮ですが、可愛いと思っていただけて幸いです( ^o^)続編…途中までですが、よろしくお願いします…… (2020年8月24日 20時) (
レス) id: 744b07ad85 (このIDを非表示/違反報告)
鈴菜 - 木舌さんがいちいち可愛いんですよ…！(嬉)もう、最後の方は涙が…。続編も読ませて頂きます！ (2020年8月23日 17時) (レス) id: 887197f4b6 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 最後で泣きそうになってしまいました・・・・でもとっても面白かったです！ (2016年7月6日 20時) (レス) id: bf8b5df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
みっきーω・`(プロフ) - ひょええ…冬だからサムイな…サイトですか…お手数ですが、URLをはっていただいてもよろしいでしょうか？ (2015年11月29日 3時) (レス) id: 332ae38f5d (このIDを非表示/違反報告)
まびの。(プロフ) - みっきーω・`さん» これは･･･みっきーさんが風邪をひく前に更新しないと･･･（笑）今はツクールでの執筆はやめてサイトの方で更新しているので、終わるとしたらそっちでかなあと思ってます。頑張りますね！ (2015年11月29日 3時) (レス) id: 5abcfed697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まびの。 | 作成日時：2015年2月28日 14時
