獄卒さんと家族ごっこ ページ3
彼らが突然この家に現れてから３日。まだまだ手がかりはつかめないようだ。
「ただいまー」
「あ、おかえり。今日はちょっとだけ早かったね」
「んー、まあね」
「あはは、大人しくしてるか心配だった？」
「若干一名がね･･･」
仕事が終わって家に帰ると玄関まで佐疫くんがお出迎えしてくれた。
今の彼は軍服姿ではなくシャツにニットというシンプルな出で立ちで、柔らかくにこりと笑う。
こっちの世界で外を調査するのに浮かないようにと買い与えたものだけど、元が良い彼は何の違和感もなく着こなしている。
「服、気に入ってくれた？」
「うん、少し慣れないけど」
「まあそうだよね。みんないる？」
「みんな出払ってるよ。夜は何かと行動しやすいから」
「そっか」
出払ってるって、どこにいったんだろう。何も手がかりはないって言っていたはずだけど。
まあ、辺りの探索は基本ってことなのかな。
「じゃあ佐疫くん、先に夕飯食べちゃおうか」
「え？いいのかな」
「だっていつ帰ってくるのか分からないし。今から作るから」
「あ、じゃあ手伝うよ」
これ買い物の荷物だよね？
やんわり笑って重い買い物袋をひょいと持ち上げる彼に、少し驚きつつもありがとうと礼を言う。体つきは細いのに、力はあるんだなあと変に感心する。
なんだか、出来のいい弟をもったような･･･。
「たっだいまー！」
「あ、おかえり」
「今帰った」
「斬島くんもおかえり。わたしも今帰ったんだ。今から夕飯作るから、ちょっと待っててね」
「Aー、腹減ったー！」
「はいはい、分かったから！ソファで待っててね」
「つーか、どうでもいいからさっさと家ン中入れ」
「おお、玄関渋滞してるね」
「あ、田噛くん、木舌さん」
「ん、Aちゃん、今帰ったよ」
「はい、おかえりなさい」
騒がしい家族ができたような。
ついこの間までは切ないほど静かだったこの家に、人の声がしている。
少しだけ幸せで、みんなに元の世界に帰ってほしくないななんて申し訳ないことを思ってしまうわたしだった。
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まびの。(プロフ) - 鈴菜さん» 鈴菜さん、コメントありがとうございます！こんな化石のような小説に……わたしの願望(欲望)を詰め込んだ木舌さんになっておりまして恐縮ですが、可愛いと思っていただけて幸いです( ^o^)続編…途中までですが、よろしくお願いします…… (2020年8月24日 20時) (
レス) id: 744b07ad85 (このIDを非表示/違反報告)
鈴菜 - 木舌さんがいちいち可愛いんですよ…！(嬉)もう、最後の方は涙が…。続編も読ませて頂きます！ (2020年8月23日 17時) (レス) id: 887197f4b6 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 最後で泣きそうになってしまいました・・・・でもとっても面白かったです！ (2016年7月6日 20時) (レス) id: bf8b5df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
みっきーω・`(プロフ) - ひょええ…冬だからサムイな…サイトですか…お手数ですが、URLをはっていただいてもよろしいでしょうか？ (2015年11月29日 3時) (レス) id: 332ae38f5d (このIDを非表示/違反報告)
まびの。(プロフ) - みっきーω・`さん» これは･･･みっきーさんが風邪をひく前に更新しないと･･･（笑）今はツクールでの執筆はやめてサイトの方で更新しているので、終わるとしたらそっちでかなあと思ってます。頑張りますね！ (2015年11月29日 3時) (レス) id: 5abcfed697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まびの。 | 作成日時：2015年2月28日 14時
