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「……幸せにするから、ね、」
「や、私が幸せにする、」
「なんでそこ頑ななの」
けらけらと笑う直樹に、好きって言って、と恋愛ドラマみたいなセリフを投げかけてみる。すると彼は、ええ？とはにかんで、そのくちびるをゆっくりと私のそれに重ねた。触れ合うだけのキスのあと、彼は私の目を心底いとおしそうに見つめて、こう言った。
「好きだよ」
これは叶わない恋だ。絶対にわたしは彼の一番にはなれないとわかっている。だってもう彼にとっての一番がいるから。それでも彼と出会って世界は鮮やかになった。極彩色の世界のなかで、私たちは今日も息をする。
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作者名：徒歩 | 作成日時：2024年2月13日 15時
