兆し、誓い ページ13
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「……叶わない恋ってつらいよね」
え？と後輩が驚いたような顔で私を見る。私は独り言のように続けた。
「彼にとっての一番がいるってわかってて、彼のことを放っておけないし、追いかけたくなっちゃう。二番目でいいからせめてそばに、って思っても、拒絶されちゃうんだよね。こういうときってどうしたらいいのかなあ……」
「え、なになに、どうしました？ついに目覚めたんですか、Aさんも恋に！」
「目覚めたというか、恋を知ってしまった、というか……」
「えー！詳しく聞かせてくださいよ！」
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「ちょっとほんとに、どうしたらいいと思います？俺、こういうときどうしたらいいかマジでわかんなくて」
相方のケムリにそう聞くと、彼はうーん、と唸ってから言葉を絞りだす。
「それは……その子の気持ちを受け取って、ちゃんと断ったんだろ？だったらもういいじゃん、何を悩むことがあんの？」
「そうなんすけど……いや、でも俺、申し訳なくなってきちゃって」
「なにが？」
「や、なんていうか、その子の思いに応えられないのが。二番目でいいからそばにいたいとか、そういうこと言ってくれる子、今までいなかったし。それに、俺なんかのどこが良いのかさっぱりわかんないっていうか……」
「あー。おまえ、あれだ。その子のこと好きなんだ」
「え？いやいや、そんなわけは、」
「よくあるだろ、好きって言われると意識しはじめて好きになっちゃう、みたいな。おまえ今、それだよ」
「え、ええ……？」
たしかに彼女のことを悪く思っているわけではない。むしろ俺のことをあんなに好いてくれている子なんていなかったから、素直に嬉しい気持ちもある。だけどこれは「好き」という感情なのだろうか。
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作者名：徒歩 | 作成日時：2024年2月13日 15時
