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「Xの供述によると、上杉さんが落ちたのはこの辺りと思われます」
「かなり進んでしまったな…」
CICにて、広げられた地図。
指差された場所を見た艦長が困ったように呟いた。
俺と蘭を筆頭にCICに入り込めば「ちょっと君たち…!」と止められるが、艦長がそれを制してくれた。
「それよりも哨戒ヘリを急げ!」
「は、はい!」
隊員の何人かが慌ただしくCICを出入りする。
立ち尽くす俺は、地図を囲む隊員と警察を眺めた。
「潮の流れを計算させました、この範囲にいるはずです」
「そんな…、通常の4倍はあるじゃないか!」
「南西から来てる低気圧の影響で、海流の足が速くなっているんです」
「波も高くなり始めています。遭難者の体力も考えると、一刻も早く発見しないと…」
そんな会話が行き来する中、俺はぐっと奥歯を噛み締めた。
…どうする。
どうすればいい…!!
「哨戒ヘリ、準備できました!」
「よし、ただちに出動!」
「僕も乗せて!」
艦長の言葉に俺は1歩前に出た俺の体は、後ろから抱き上げられた。
…そう、目暮警部によって。
「バカを言うんじゃない!」
「でも…っ」
「子供がいたら足でまといになるだけだ!」
───クソッ!!
こんな時にこの体じゃなければ…!
俺は目暮警部に降ろされると唇を噛み締めて下を向いた。
「遭難者の体力を考えると、一刻の猶予もない。なんとしても日没までに探し出すんだ…!」
「了解です」
その言葉を聞いた園子がサッと青ざめて振り向く。
「一刻の猶予も無いって…!」
「Aは…っ、Aは無事なんですよねっ…!?」
両手で顔を覆って泣き出す園子と、震えた声でぽつりぽつりと話す蘭。
まるで、自分に言い聞かせるみたいに。
「あの甲板から落ちたら、どうなるんですか…?」
園子の肩に手を添えた佐藤刑事が尋ねる。
…けど、救命胴衣を着けていても打ちどころが悪ければ…と言葉を濁す井上さん。
「そんな…っ!!」
目を見開いて崩れ落ちた蘭は、咽び泣くように肩を震わせた。
「なんで…っ、A…」
そんな蘭と園子に、子供たちが不安にならないわけがない。つられるように泣き出す子供たちに、俺はただただ頭を巡らせることしかできなかった。
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ゆうみん - 頑張って、もう少しだよん、コナン君達助けてくれるよん、次回楽しみにしてます (2019年5月28日 21時) (レス) id: bf7cef9bae (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - ゆうみんさん» ぜひぜひ楽しみにしていただければ光栄です!毎度コメントありがとうございます! (2019年5月28日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - やばいぞ、彼女ちゃん海おちゃたあ、早く助けに行かなくちゃあ、コナン君達はどうなるの楽しみです (2019年5月28日 17時) (レス) id: 031a0bf45d (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - ゆうみん さん» 楽しみにしててください!!!!笑 これからどんどん展開が進みます!!笑 (2019年5月26日 18時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - あああ、気になるあ、どうなるの、犯人は、彼女ちゃん達は次回楽しみにしてます (2019年5月26日 17時) (レス) id: bf7cef9bae (このIDを非表示/違反報告)
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