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「何の音なんですか?」
艦長が尋ねるのに対して、俺は説明する。
「この音は、腰につけた特殊警棒と拳銃がぶつかり合ったときになる音…、そうですよね?倉田さん」
俺の推理に、倉田さんは明らかに動揺したような表情を浮かべて後ずさる。
すると、まるでタイミングを測ったみたいに腰の警棒と拳銃がぶつかり、カチャ…とさっきの留守電で聞こえた音と同じ音が鳴った。
「待ってください!この特殊警棒も銃も、海保の警備隊なら誰でも持っています!!」
はっとする一同に、必死に訴える倉田さん。
「なるほど…しかし、この留守電が残されたのは今朝5時半。そして彼の死亡時刻は──…」
「今朝の5時半です…!」
高木刑事は答えると、倉田さんに目線を向ける。
倉田さんはじっと俯いたままで口は開かない。
「つまり、彼は携帯を持ってこのイージス艦に乗る暇などなかったんですよ。しかも今朝、舞鶴港で不審船を発見したのは…倉田さん、貴方でしたね?」
ぐっと悔しそうな表情を浮かべる彼に、俺はまだ続ける。
「つまりその時間貴方は舞鶴港を巡回していた。…それでもまだ否認しますか?」
どうしようもなく動いた倉田さんの手は、腰にある拳銃の方へと伸びる。
すぐに「動くな!」と銃を構えた高木刑事を、目暮警部はそっと制した。
…そう、倉田さんは銃と警棒をカタリとテーブルの上に置いたから。
「…まさか、まさかあんなことになるなんて、思わなかったんだ…っ!!」
そう叫ぶように言った倉田さんは話し出す。
…事件の経路を。
早朝の薄暗い中、舞鶴港の崖の上を巡回していた倉田さんはコートを羽織った男が携帯電話で話しているのが見えて、不審に思った彼は何をしているのかと問いかけたらしい。
しかし、その男───笹浦さんは逃げるように走り去った。
怪しいと思った倉田さんは笹浦さんのことを追いかけてとうとう捕まえた。
…というところで、笹浦さんの足元が崩れて崖から落ちた。咄嗟にコートを掴んでも、そのコートをするりとすり抜けた笹浦さんは海へと落下してしまった…と。
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ゆうみん - 頑張って、もう少しだよん、コナン君達助けてくれるよん、次回楽しみにしてます (2019年5月28日 21時) (レス) id: bf7cef9bae (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - ゆうみんさん» ぜひぜひ楽しみにしていただければ光栄です!毎度コメントありがとうございます! (2019年5月28日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - やばいぞ、彼女ちゃん海おちゃたあ、早く助けに行かなくちゃあ、コナン君達はどうなるの楽しみです (2019年5月28日 17時) (レス) id: 031a0bf45d (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - ゆうみん さん» 楽しみにしててください!!!!笑 これからどんどん展開が進みます!!笑 (2019年5月26日 18時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - あああ、気になるあ、どうなるの、犯人は、彼女ちゃん達は次回楽しみにしてます (2019年5月26日 17時) (レス) id: bf7cef9bae (このIDを非表示/違反報告)
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