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『すみません〜!』
甲板に降りた私が駆け寄ると、勇気くんとお父さんはこちらを振り返る。
走ったせいで切れた息を整えつつも、私は尋ねる。
『あの、コナンくん…メガネをかけた小学生の男の子、見ませんでしたか?』
にこりと優しそうに笑ったお父さんは「いえ、見てませんね」と答える。
…だよねぇ。
そうですよね、と頬を掻いた私は少しだけ腰を屈めると勇気くんにも聞く。
『勇気くんは知らない?』
私の問いかけに、なんだか暗い顔つきで「うん…」と下を向いてしまう勇気くん。
…どうしたんだろう。
『どうしたの?大丈夫?』
「勇気は私と一緒だったんで見てないはずですよ。お互い迷子には苦労しますね」
『あ、はは…そうですね…』
迷子って言うとなんか違うんだけどね。
コナンくんは自分の意志でどこかへ行って、私はそれを勝手に探してるだけだから…。
…まぁ、うろちょろしてることには変わりない。
『あ!そういえば、ここの甲板立ち入り禁止になったみたいですよ!』
言い忘れそうになったことを伝える。
元々このことを伝えるために来たんだったのに。
「そうだったんですか、勇気の船酔いが治ったら我々も戻ります」
『…船酔い?この広い船で?』
確かに勇気くん、元気なさそうではあったけど。
違和感を感じて首を傾げた私に、お父さんが何かを言いかけた時だった。
「───お姉ちゃん助けて!!この人スパイだ!」
『…へ』
「勇気っ!!」
急に私の方へと駆け出した勇気くんだけど、お父さんの怒鳴り声によって足を止める。
何を言ったのかは聞き取れなかったけど、お父さんに何かを告げられた勇気くんが怯えたように硬直してしまう。
『…スパイ?』
「どうもすみません。ずっとスパイごっこをしていたもんで、すっかり役になりきってしまって…」
頭を掻きながら笑うお父さんとは反対に、勇気くんは「違う!!この人僕のお父さんじゃない!」と訴える。
『…X』
私の呟きが聞こえたのか、お父さんの目付きが変わった。
『…本当のお父さんじゃないんだね』
「うんっ、違う!!助けてお姉ちゃん!」
ああ、そういうことね。
…この人が、さっき新一の言っていたスパイだ。
『…勇気くん、こっちおいで』
「うん!」
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ゆうみん - 頑張って、もう少しだよん、コナン君達助けてくれるよん、次回楽しみにしてます (2019年5月28日 21時) (レス) id: bf7cef9bae (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - ゆうみんさん» ぜひぜひ楽しみにしていただければ光栄です!毎度コメントありがとうございます! (2019年5月28日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - やばいぞ、彼女ちゃん海おちゃたあ、早く助けに行かなくちゃあ、コナン君達はどうなるの楽しみです (2019年5月28日 17時) (レス) id: 031a0bf45d (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - ゆうみん さん» 楽しみにしててください!!!!笑 これからどんどん展開が進みます!!笑 (2019年5月26日 18時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - あああ、気になるあ、どうなるの、犯人は、彼女ちゃん達は次回楽しみにしてます (2019年5月26日 17時) (レス) id: bf7cef9bae (このIDを非表示/違反報告)
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