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side change.
揺れる地面に響く爆発音。
電気も付いてなくて暗いこのスタジアムは心細い。
子供たちを追いかける、という理由が出来たわけだけど、ほんとのほんとは。
『…私だって力になりたい』
ぐっと足に力を込めて、爆発音の聞こえる方へと足を進めた。
────……
『───ごめんね。待ってるって約束、破っちゃった』
足元に転がってきたボールを止め、私は小さく息を吐くとそう口にした。
そういうこと…ね。
状況は大体は分かる、…このボールを新一に届ければいいって歩美ちゃんが言ってた。
『私もいるんだから…』
哀ちゃんも、少年探偵団のみんなも。
みんなの想いはこのボールに託されてる。
だから、
『受け取って…!!!』
足にピリリと衝撃が走ったのが分かる。
私の蹴ったボールは綺麗に弧を描くと瓦礫の奥へと消えていった。
『届いて…!』
球技は苦手だし嫌いだけど、新一が好きだから覚えたサッカー。
…ずっとずっと昔から一緒なんだよ。
待ってる、なんて強がって言っちゃったけどさ。
本当は隣に居たいんだよ。
新一みたいに推理やサッカーも出来ないし、
蘭みたいに強くもない。
それでも、少しでも力になりたいんだよ。
『お願い…っ、』
ぐっと拳を握り締める。
また巻き起こる爆発は、残り時間が少ないことを示しているんだろう。
哀ちゃんの「早く、時間が…!!」という声が響く。
新一なら大丈夫。
不安をかき消すように、心の中で自分にそう言い聞かせた。
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ぱぴこ(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!!そう言っていただけると嬉しい限りです!!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2019年5月23日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - おおおお毎回お話が面白すぎて毎日楽しみです!頑張って下さい! (2019年5月22日 18時) (レス) id: fc9bd81442 (このIDを非表示/違反報告)
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