【名探偵コナン】世界はあなたの色になる。【天空の難破船】

□３． ページ4

「ところで、今回の客はわしらだけなのかな？」

「へ？…あぁ、確か藤岡さんってルポライターの人が……、あ、あの人！」


博士の問いかけに園子が答えた時、良いタイミングで“藤岡さん”がこちらの方へと歩いてきた。

次郎吉おじさまとキッドの対決をぜひ書かせて欲しいって自分から売り込んできたらしい。

…そんな人もいるんだなぁ、と手すりに寄りかかったまま視線の方向を変えると、目に映ったのはふくよかな体型の男の人。

なにやら小五郎のおじさんに話しかけている。



「初めまして、日売りテレビディレクターの水川と申します」


彼は自己紹介に付け足してレポーターとカメラマンの人もおじさんに紹介する。

…さっすが眠りの小五郎。人気だね。


そんな大人な会話は私にはつまらなくて、ぼーっと外の景色を眺める。

細菌バクテリア…だかなんだか知らないけど、そんな話をしているようだった。



『…トイレ』

「あ、ちゃんと場所分かる？」

『だぁいじょぶ、蘭じゃないんだから迷子にはならないよ』


そう言って笑えば、蘭がほっぺたを膨らませて「もうっ！」なんて。

…あはは、かわいー。




「蘭姉ちゃん、僕もトイレ！」

『…げっ』



私に便乗するようについてきた新一は、私が別にトイレに行きたいわけじゃないことに気がついているようだった。

みんなから少し離れたところで「んだよ、眠いのか？」と私の顔を覗き込んでくる。



『…んーん、普通』

「具合悪いなら言えよな」


本当はキッド探しに行こうとしてたなんて新一に言えるはずもなく、私はトイレの方向に歩く。


『大丈夫だよ、ちゃんと寝てるしちゃんと食べてるから』

「ならいいんだけどよ」



そう吐き捨てる新一の不器用な優しさが伝わって、ふへへ…と口角が自然と上がってしまったのは多分本人にはバレてない。……と思う。

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