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『どこっ…!?』
私が駆け回るのは飛行船の内部。
…ついさっきまで新一がスケボーで駆け回って犯人を倒したこの場。
どこを探しても新一や藤岡さんは見当たらない。
そんな中、ふと目に入ったのは飛行船の上へと繋がるはしご。
『…見るだけ見るだけ』
まさかとは思うけど…とはしごを登っていると、なにやら銃声のような音が聞こえた。
じわりと嫌な汗が滲む。
勢いよく天井の扉を開けた私の目に映ったのは、頭から流れる血を拭う新一と銃口をこちらへ向ける藤岡さんの姿だった。
『しんい──っ』
「お前っ…来るな!!!」
飛び出した私を拒否する新一だけど、そこまで私も従順じゃない。
バァン、と撃たれたのはきっと2発目。
私は新一を庇うようにして2人の間に飛び込んだ。
『っ、うぁあ』
きっと弾が掠ったんだろう。
痛いというよりは熱い感覚。
「おい!大丈夫か!!!」
『掠っただけ、』
まともに当たらなくてよかった。
…こんなの脳天ぶち抜かれたらおしまいだもん。
そう思うと急に押し寄せてくる恐怖。
「面白くなってきたじゃねぇか…ちょうど良かった、そこの嬢ちゃんと一緒に死ねるなら坊主も本望じゃねーのか?」
『…一緒に生きて帰るって決めてるんだから』
「A…、」
私の言葉を聞いて鼻で笑うのは藤岡さん。
…なにも面白いこと言ったつもりは無いんだけどなあ。
「そんなつもりの嬢ちゃんに良いことを教えてやろう」
ガチャ、と弾を用意しながら腹の奥で馬鹿にしているように話す。
「俺たちは、あの橋の近くに停めてあるクルーザーでおさらばする。その直後、飛行船が爆破する…“人質たちのいるキャビン”がな」
「そうか…だから…」
「燃料タンクに仕掛けた爆弾はお前らが外したんだろうが、キャビンにはもう2つ残ってたってわけだ」
く、と悔しそうに歯を食いしばる新一。
その横で私は必死に策を考えていた。
…なんで、こういう時に限って頭が真っ白になるんだろうか。
「その前に…」
藤岡さんの発砲した弾が地面に当たって、思わずビクッと肩をすくめる。
「お前らにはここで、海の藻屑と消えてもらう…!」
後ずさった私たちの目に映ったのは、中に続く扉の取っ手。
何を思い浮かんだのか、新一は小さく「…おい」と呟いた。
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(名前)ひよ(プロフ) - コメント失礼します。最近占いツクールで主さんの作品を見させてもらっています。質問ですが、うざさ99%の作品でパスワードがかかっていて、作品を見ることができません…。パスワードとはどんなのか教えてくださると嬉しいです! (2020年11月23日 9時) (レス) id: 8296576305 (このIDを非表示/違反報告)
す(プロフ) - 遊び人さん» ここだけの話、好きです(小声)隙あらば狙ってます(小声) (2020年8月31日 21時) (レス) id: 3a75016096 (このIDを非表示/違反報告)
遊び人 - 快斗って夢主のこと好きなんですか???星が綺麗って言ってたし顔赤くしてたし!!よかったら教えてくださいいぃ!! (2020年8月31日 20時) (レス) id: 08ebd560d2 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 『一部始終しか見ていない』とありますが、『一部始終』とは最初から最後まで・細々としたところまでという意味なので、文章の意味的に『始終』はいらないと思いますよ。 (2020年1月6日 0時) (レス) id: ac2f5c909d (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - 蓮花さん» 覚えている人がいてくれたなんてびっくりです…!!超嬉しい!!笑 ありがとうございます!! (2019年6月24日 7時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぴこ。 x他1人 | 作成日時:2019年5月4日 11時