【名探偵コナン】世界はあなたの色になる。【天空の難破船】

□２１． ページ22

「俺が何人かをおびき寄せてる間はここに居るんだ、いいな？」

『うん、分かった』



私にそれだけを伝えるとハシゴを降りる新一。
途中で勢いよくジャンプして地面に着地すると、その場に横たわった。

息を潜めて覗いていれば、少しして犯人グループのうちの1人がやってくる。

倒れている小さな子供がいるんだ、…当たり前だけど撃ち殺すよりも先に彼の元へと歩み寄る。



「おい…」


…そーんなどこぞの猫さんは新一の思うがまま。

さっき聞いた作戦通りすぎて、思わず私は笑いそうになる。

ふ、と小さく笑った新一は得意の麻酔銃を撃ち込んだ。


眠った男の手を確認してから、こちらへと登ってくる新一。



『…手？』

「ああ、ちょっとな」



私の隣にやって来ると、今度はサスペンダーを用意する。…こういういたずらってちょっと楽しいよねぇ。

もう1匹の猫さんを待っていると、すぐにやってきた。さすが行動が早いな。

彼は倒れている仲間を見て「どうした…！」と驚くが、眠っていることに気がついてはっとする。


新一は、横でニヤリと笑うと男の横目掛けてサスペンダーを垂らした。

それを見て不思議に思ったのかは知らないけれど、掴んでしまった猫さんは新一によって勢いよく上まで登ってくる。



「うわぁぁ…！！」

『お馬鹿さんだね…』


ぽつりと私が呟いた時には、猫さんは背中から地面に落ちて気絶していた。

あーあ、伸びてら。


さっきの反動で投げ出されたトランシーバーからは「キャットB、どうした！？」という声が聞こえてくる。

それを拾い上げた新一は「キャットBなら屋根の下で伸びちゃってるよ」と答えてあげた。


「おかしいねぇ、猫は背中から落ちたりしないのに」

『猫さん2匹とも気持ちよさそうに寝てますよ〜』

「…これ気持ち良さそうか？」


トランシーバーの向こうからは子供たちの安心したような声が聞こえる。

みんなの大好きなコナンくんが戻ってきたよー…なんつって。



「くそ、っ…キャットC、D、E！ガキ共を捕まえろ！───いや、見つけ次第撃ち殺せ…！」


そんな言葉が聞こえ、思わず体が強ばる。

…見つかったら殺されるかくれんぼ。…いや、鬼ごっこか。





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