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「元々顔だけ似てるんじゃない?」と詰め寄る蘭。
そしてこのタイミングで、開いたエレベーターからは中森警部が降りてきた。
「中森警部〜!!」
『あ、蘭、ちょっと待って…』
まるで蚊の鳴くような声は届かず。
冷や汗がたらりと額を伝った。
…なんなら、快斗よりも私の方が焦っているような気がする。
「こんな逃げ場のない飛行船に乗ったのが運の尽きよ!観念なさい!」
中森警部らの歩いてくる足音が妙に大きく感じる。
ドキドキと心臓が破裂しそう。…って時に、快斗は口を開いた。
「飛行船じゃねぇ、───UFO、だろ?」
「…!!」
『な…っ!』
その言葉に分かりやすく反応した蘭は、快斗から手を離す。
「確かオメー、ガキの頃そう言ってたよな」
私でも騙されてしまいそうな声に、私は口を出せない。…さっきの私たちの会話、聞いてたんだ。
「オメーにしてみれば、今の俺は突然UFOに現れた得体の知れない宇宙人に見えるだろうが、怪盗キッドはある事件を解くためにやむを得なくやってんだよ」
明らかに驚いている蘭は、快斗のことを信じ始めている。
「その証拠に、盗んだ宝石は後で持ち主に返してるだろ?」
でも…と動揺を隠せない様子の蘭。
すっかり黙り込んでしまっている私の方を助けを求めるように見た。
『新一は…───っ』
「ま、こんな派手な怪盗を名探偵工藤新一が放っとくわけないから分かってくれると思ってたけど…オメーに捕まるんならしゃーねぇ、観念するぜ」
「し、んいち…」
気がつけば私たちのすぐそこまで来ていた中森警部。「どうした?」と蘭に尋ねる。
「何か気づいたことがあれば…」
「あっ……いえ、なんでもありません…!」
蘭の声に、快斗は私にだけ見えるようピースする。
…もう、後でどうなっても知らない!!
「私の勘違いでした、すいません!」
それだけを伝えると、右手で快斗、左手で私の腕を掴んでエレベーターの方へと走り出す蘭。
その横顔は、心做しか不安げだ。
…快斗の馬鹿野郎。
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(名前)ひよ(プロフ) - コメント失礼します。最近占いツクールで主さんの作品を見させてもらっています。質問ですが、うざさ99%の作品でパスワードがかかっていて、作品を見ることができません…。パスワードとはどんなのか教えてくださると嬉しいです! (2020年11月23日 9時) (レス) id: 8296576305 (このIDを非表示/違反報告)
す(プロフ) - 遊び人さん» ここだけの話、好きです(小声)隙あらば狙ってます(小声) (2020年8月31日 21時) (レス) id: 3a75016096 (このIDを非表示/違反報告)
遊び人 - 快斗って夢主のこと好きなんですか???星が綺麗って言ってたし顔赤くしてたし!!よかったら教えてくださいいぃ!! (2020年8月31日 20時) (レス) id: 08ebd560d2 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 『一部始終しか見ていない』とありますが、『一部始終』とは最初から最後まで・細々としたところまでという意味なので、文章の意味的に『始終』はいらないと思いますよ。 (2020年1月6日 0時) (レス) id: ac2f5c909d (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - 蓮花さん» 覚えている人がいてくれたなんてびっくりです…!!超嬉しい!!笑 ありがとうございます!! (2019年6月24日 7時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぴこ。 x他1人 | 作成日時:2019年5月4日 11時