おわれる者

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第七話ページ8

入学式から数日経ち新しい環境に慣れてきた頃の昼、Aはイレイザーヘッドが1年A組のクラス名簿を見ていることに気がついた。
｢あらイレイザー、今年は全員見込みアリ。だったの？｣
｢“ゼロ”ではなかった。それだけですよ。見込みがないと思ったらいつでも切り捨てます。風間先生も、同じこと言うんですね｣
｢あら、他にも誰か？｣
｢オールマイトさんですよ。彼は緑谷のことをひどく気に入っているようで｣
｢へぇオールマイトが…｣
｢HeyHeyイレイザー！風間先生となに楽しそうな話してんだぁ？｣
｢うるせぇぞマイク。…うるさいといえば今朝の報道陣はやけに手荒で騒がしかったな｣
｢こいつあシヴィー！！！ま、確かに今日は異様に感じたけどな…｣
｢そうね。さすが平和の象徴の影響は大きいわ…何もないといいんだけど…。さーてと、私はランチタイムとでもいこうかしらね｣
そう言ってAは食堂へと足を運び始めた。

遠くの方から昼食のいい匂いが漂いはじめた頃。突然大きな警報が鳴り、セキュリティシステム3が突破されたという放送が入る。
｢な、なんなの！？｣
Aが窓の外を見ると、門は半壊し、教員達が押し寄せる報道陣たちの対応におわれている。その時だった。どこからか異様な気配がした。急いでそちらの方に足を進めると、どうやら職員室からしているようで、あいにく報道陣の対応に出払っているため教員はいないようだったが、中からはいまだ異様な気配がしている。
｢誰だっ！｣
Aが勢いよく扉を開けると、そこには敵が二人。手には紙が握られており、片方の個性だろうか、ゲートのようなものが開いていて今にも去ってしまいそうである。
｢待ちなさいっ！！｣
捕らえようとするもあと一歩届かず、彼らは跡形もなく消えていってしまった。しかし、Aは気づいてしまった。二人のうちの一人、体中に手をつけた少年が、こちらを見てにっこりと笑ったのである。Aは恐怖に駆られ腰が抜け、その場に座り込んでしまった。

職員室に他の教員らが帰ってきて、唖然としているAに驚き声をかけるも、返事は曖昧であり、心配した教員らは彼女に早退した方が良いと言うのであった。